巨人が「甲子園の決勝戦野球」を完成させるため、“小技の申し子”を投入する。16日オリックス戦(東京ドーム)から始まる交流戦に向け、今日15日の全体練習に松本哲也外野手(27)が合流することになった。松本哲は好守、俊足、つなぎの打撃が特長で、09年は2番として日本一に貢献。センターライン強化はもちろん、ここ最近の小技を織り交ぜた攻撃に厚みも加え、交流戦初制覇に備える。

 ペナントの行方を左右する交流戦に向け、巨人が新たな一手を打つ。12日にホールトンが登録抹消され1つ空席の出場登録枠について、原辰徳監督(53)は「松本を上げる予定でいます。練習に合流させようと思います」と、外野手である松本哲を加える考えを明かした。

 巨人打線に起こる変化に、加速度をつけられる存在だ。13日のヤクルト戦前、原監督は「甲子園の決勝戦のように戦おう」とミーティングで語りかけ、1点への執着心を植え付けた。言葉通り、9回にはセーフティースクイズを敢行。ここ数試合は重盗も絡めたりと、1発頼みから脱却した攻撃で勝率を5割に戻した。松本哲は「そういう野球は自分の持ち味でもあるし、しっかりやりたいというのはある」と「甲子園の決勝戦野球」は望むところだ。

 セの他球団に漏れず、交流戦は毎年苦戦が続く。昨季は7位。1点を争う接戦をものにしていくためにも、守備範囲が広く強肩の松本哲が効いてくる。秦バッテリーコーチは「1失点を防ぐのは1点を奪うのと同様の価値がある。見えない戦力なんです」。バッテリーコーチの立場から、センターライン強化は有形無形の効果が大きく大事だと説いた。

 また、交流戦のビジター試合で導入される指名打者について、原監督は「臨機応変にというかね、状況の中で」と日替わりの方針を示した。谷や高橋由の起用が予想され、投手抜きの重量感ある打線では、よりつなぎの重要度がアップするはずだ。

 松本哲は新婚の今季開幕を2軍で迎えた。「自分に悔しかった。1軍に上がるチャンスがあれば、必死にやるしかない。チームのために、今までの思いを爆発させたい」。168センチの“小技の申し子”が、巨人の交流戦初Vへの秘密兵器となる。【浜本卓也】