日本ハム栗山英樹監督(53)の来季続投が決定したことが28日、分かった。高く評価する球団側が前半戦中の異例の早期打診に踏み切り、監督も受諾したもよう。近日中に正式発表される見込みだ。今季が2年契約2年目の最終年で就任3年目。昨季は最下位に沈んだが1年目の12年はリーグ制覇、今季も故障者続出の中で3位をキープ。急成長中の大谷ら若手への世代交代に拍車がかかる来季以降の新チーム作りを、継続して託されることになった。

 新時代のかじ取り役は、不動の人選だった。栗山監督が長期的視点で腰を据え、来季も球団強化の先頭に立つことになった。球団側はかねて評価しており、来季も監督として慰留する方針を固めていた。現状でAクラスの3位ながら順位が確定していない前半戦終了を待たず、異例の時期に正式に打診に踏み切ったとみられる。同監督も受諾する意向を示したもよう。詳細は今後、詰めることになりそうだが、このほど円満決着に至ったようだ。

 革新的な発想で新風を吹き込んできた。ダルビッシュが米レンジャーズ移籍で抜けた12年に就任。伸び悩んでいた吉川を先発陣の柱に抜てきするなど、難局を束ねてリーグ制覇へと導いた。昨季は多数の故障者に見舞われる不運もあり最下位。それでも成功不可能との声が多かった大谷の二刀流で、入団1年目からの道筋を築いた。今季は投手で7勝、最速160キロをマーク。投打両面での才能開花へ、大きな後ろ盾になってきた。

 将来のチーム構想を的確に描く、適任者として指名された。大谷をはじめ、まだ伸びしろ十分の中田ら、有望な若手が多数在籍。栗山監督は今季、既に6勝と頭角を現した上沢らを抜てき、捕手の近藤を三塁手で起用するなど大胆な用兵。時に周囲のコーチ陣の反対を押し切り、才能を伸ばしてきた。この日の楽天戦スタメン野手が全員20代以下が象徴するように、来季以降はさらに大きく世代交代が強いられる。断片的ではなく、継続して若手の台頭を促すことが得策との狙いからも白羽の矢が立った。

 栗山監督と球団側の双方で最終の意見調整が完了次第、正式発表される方向性とみられる。球宴前、近日中の可能性も十分にある。栗山監督は「オレは信念に従って、やる」と貫く独特の感性を持つ。球団はチーム全体の強化のエッセンスとして、その個性も必要と判断したようだ。ヒルマン元監督は5年間、梨田前監督は4年間、指揮を執ったが栗山体制は4年目に突入する。北海道へ本拠地移転後、日本一1度を含むリーグ優勝4度の日本ハムの基盤を、長期政権で固めていくことになる。

 ◆栗山英樹(くりやま・ひでき)1961年(昭36)4月26日、東京都生まれ。創価高-東京学芸大。83年ドラフト外でヤクルト入団。通算成績494試合、1204打数336安打、7本塁打、67打点、打率2割7分9厘。90年に引退後、野球解説者など歴任。今季年俸9000万円(推定)。<日本ハム栗山監督の軌跡>

 ◆11年11月9日

 札幌市内のホテルで就任会見。「ワクワクするような」チーム作りを掲げ、感銘を受けた名将・三原脩氏にあやかって背番号は80。

 ◆12年3月30日

 就任1年目の開幕、西武戦(札幌ドーム)は大役を託した先発斎藤が好投し9-1で快勝。

 ◆同10月2日

 試合はなかったが、2位西武が敗れ、待機していた札幌ドームで計11度胴上げされた。

 ◆同11月3日

 クライマックスシリーズを勝ち上がって臨んだ巨人との日本シリーズで2勝4敗。「この悔しさはものすごいエネルギーになる」。

 ◆同12月9日

 メジャー希望だったドラフト1位大谷が入団表明。会見後「監督を引き受けた時も怖かったけど、もっと怖くなってきた」。

 ◆13年10月6日

 最下位でシーズン終了。「1年目V→翌年最下位」は初めて。

 ◆同24日

 ドラフト会議の1位抽選で3度失敗。