最寄り駅からつづら折りの道をたどること車で約20分。静岡・伊豆市の山間にある天城ドームで、広島菊池涼介内野手(24)が「オレ超え」を誓った。究極の目標は無失策でのゴールデングラブ賞受賞。広い守備範囲だけに、記録上の失策が多くなるのは当然。だが、守っている限り失策はしたくない。記録も賞も、誰かに取られるくらいなら…。いや、誰にも渡すつもりはない!

 「補殺は(歴代上位)ワン、ツー、スリーを取りたい。ゴールデングラブ賞は絶対とる。エラーはしたくないですね。投手にも迷惑を掛けてしまうので」

 昨季は自身の持つ二塁手の補殺記録528を塗り替える535補殺を記録し歴代1位、2位を保持。それでいて失策も19から12に減らした。菊池自身は「伸びしろがあると思ったことはない。見てる人が言うこと」と謙遜するが、2年間で相手打者の傾向も頭に入り、対策は立てやすくなった。舞い上がり揺れ落ちる、山の向こうの打球だって…。87年の大洋高木が持つ守備率最高記録9割9分7厘1毛(2失策)超えも、この男ならやってくれそうな気配が漂う。

 走塁面でも30盗塁を目標に定めて準備を進めていくという。さらに監督の指名もあり今季は丸とのコンビでチームを引っ張ることを求められる。「そのためには結果も必要。やることは変わりませんが、気持ちに1つ置いておくだけで行動も変わってくると思う」。ここ2年でホップ、ステップと来た。「次はスキップですね!」。何があっても、もういいの。赤い忍者は自分超えにくらくら燃える。【池本泰尚】