完全復活へのテーマは「佑ティリティー」だ。日本ハム栗山英樹監督(53)が20日、停滞中の若きスターの再生論をぶち上げた。昨季まで2年間で計2勝にとどまっている斎藤佑樹投手(26)の今季の起用構想。本業の先発以外にロング救援、守護神での活用法を模索していることを明かした。斎藤が元来は「持っている」とされる神通力を、チームへ還元させることも狙い。目指す3年ぶりリーグV、9年ぶり日本一へのキーマンに指名した。

 先発も佑ちゃん、中継ぎも佑ちゃん、抑えも佑ちゃん…。

 大一番でも佑ちゃん、ビハインドでも佑ちゃん、接戦勝利を狙うのも佑ちゃん…。

 栗山監督は、金太郎あめのような斎藤の起用法を思案していた。この日、由仁町の特別養護老人ホーム「ユンニこもれびの家」を慰問。入所している老人、町内の子どもたちと触れ合った。無償の愛をプレゼントした。入所女性の1人から「ファンなんです。斎藤佑樹選手は元気ですか?」と直球質問に絶句も、明確な再生への輪郭を描いていた。

 大前提は「それがいいに決まっている」と、先発ローテーションの1人としての登用であることを力説。その理想が乱れた場合の奥の手は、大胆不敵だった。守護神としての可能性、根拠を説明した。「斎藤の抑えって、どうなんだろう。最終回を投げる投手と、佑樹のボールはイメージが違う。その違う要素が、どう(対打者に好影響と)出るのか」。

 もう1案はロング救援要員だ。「いわゆる『敗戦処理』はさせない」と断言。小差のビハインドを追いかける。また劣勢の流れを一転させる。起爆剤としての役目も、視野に入れている。「ロングの適性というのはあるんじゃないか。ソフトバンクの柳瀬とか、うちの藤岡のように…」とも思いを巡らせている。

 斎藤に固執するのは、勝負の今季の戦力として見込んでいる証しだ。「(他選手と)違うインパクトだったり、爆発的なことだったり。佑樹には、違う何かのプラスアルファがある」。ビッグゲームでの数々の「持っている」と称される金字塔。たぐいまれな星の下に生まれた斎藤の天運を、チームの推進力の1つへ。栗山監督は、佑ちゃん再起へも無償の愛と、英知を注ぐ。【高山通史】