やはり黒田は黒田だった。8年ぶりに広島に復帰した黒田博樹投手(40=ヤンキース)が16日、広島市内のホテルで入団会見に臨んだ。繰り返し口にしたのは、球団、ファンへの思いと、野球人生に掛ける覚悟。ユニホーム姿もグラウンドで披露するため、この日は着用せず。「1球入魂」を地でいく男が、広島を24年ぶりの歓喜に導く。なお、契約は1年で年俸4億円プラス出来高払い。背番号は「15」。

 最前線で戦ってきた黒田の生きざまだった。テレビカメラ17台、約40社150人が見守る入団会見。フラッシュを全身で受け止めながら、一言ずつ言葉を紡いだ。日米通算182勝。大きなプレッシャーに時折苦笑いを浮かべながらも、きっぱりと言った。

 「いつ壊れてもいい、いつやめてもいいと思ってマウンドに上がっている。人にできないことをやっている、というマインドは変えずにやりたい」

 ヤンキースのエースまで務めた黒田だが、意外にも最初に口にしたのは不安だった。楽しみか、と問われると「正直、不安しかないです」と言った。襲いかかる不安の盾となったのが強い気持ち。目の前の敵をなぎ倒すため、腕を振るだけだ。「1球入魂」を誓い、その決意を言葉に変えた。

 「日本復帰1戦目で肩が飛んでしまう可能性もある。それでも後悔はしない」

 復帰決断には、やはり、おとこ気があふれていた。年俸20億円近い巨額のオファーを蹴ってでも広島を選択。自分のことを待ってくれている人がいる。最初にFA権を取得した06年の最終戦を思い出しながら口を開いた。ファンのために-。それがすべてだった。

 「広島でマウンドに上がった方が、充実感と、メジャーで投げていたとき以上の違ったものが出せるんじゃないかなと。カープのユニホームを着て投げる方が、最後の1球になっても後悔は少ないと思った」

 米国では4度ブルペンに入り、状態は「年相応より少し若いくらいです」。カーブも継続して取得に取り組んでいるという。ユニホーム姿は本人たっての希望で2日後までお預け。戦闘服はグラウンドで着るものだというメッセージも込められているに違いない。今日17日に沖縄入りし、18日にチーム合流する。場所が変わっても、熱いハートは変わらない。黒田が黒田らしく、歩み続ける。【池本泰尚】