広島岩本貴裕外野手(24)が9日、宮崎・日南市内で契約交渉に臨み、400万円増の年俸1800万円で更改した。今季は14本塁打をマークしたが、長らく2軍調整したことなどが響き、微増どまり。この日、西武との練習試合(天福)では3打数3安打。文句のない打撃で、来季こそクリーンアップ定着だ!

 (金額は推定)

 将来のカープをになう大砲候補だからこそ、厳しい査定を受け入れる。岩本は2年目の今季、プロ初本塁打を含む14本塁打をマークした。チームトップの栗原(15本)に次ぐ2位タイ。それでも、400万円の増額にとどまったのは、若きスラッガーへの“愛のムチ”だ。サインした岩本も発奮材料にする。

 「もっとやってもらわないと困るということです。(1、2軍に)落ちたり上がったりしたので。1年を通して打てていませんし」

 スラッガーとして急成長したイメージが強いが、今年は開幕から1カ月以上、2軍でプレーを続けた。5月に1軍昇格を果たしたが結果を残せず、再び降格。6月、ノーステップ打法に変更して結果を出すまでは試行錯誤した。1軍で活躍したのは7月以降。61試合出場にとどまったのが大きなマイナス査定だった。来季は1年間を通じた活躍がノルマとして課せられた。

 「6、7番で打つことも多かったので、中心になるところで打ってくれと言われました。得点圏打率も、もう少し上げてくれということ。最初のころ、全然(得点圏で)打てていない」

 ハードルは乗り越えるためにある。球団の査定担当者も「期待は高い。主軸を打ってもらわないといけない。本塁打を打っているけど、もう少し確実性を上げてほしい。打撃面ではまだまだマイナス」と話す。今季スタメン3番は5戦、5番は1戦だけ。6、7番で先発したのが45試合。得点圏打率も2割6分8厘だった。レギュラーとみなすからこそ“激辛採点”だ。

 この日、昼間は西武との練習試合でハッスルした。3打席連続で中前に運ぶなど、的確な打撃を披露。右翼守備でも一走銀仁朗を三塁で補殺するなど、攻守で大暴れした。「(打撃は)追い込まれてから、簡単にアウトになるんじゃなく、粘らないといけない。(補殺は)投手を助けられる守備をしないと」と自覚十分。本物の主力になるべく、新たな挑戦が始まった。【酒井俊作】