ノアの仲田龍統括本部長(47)は17日、東京・有明の事務所で、三沢さんが亡くなった際の対戦相手だった斎藤彰俊(43)の家族が嫌がらせを受けていることを明らかにした。家族は愛知県内に住んでいるといい、仲田氏は具体的な被害の内容は明かさなかったが、「(事故は)だれのせいでもないんです。(三沢さんの)ご遺族も理解しているし、三沢だって悲しんでいる。本当にやめてください」と、強い口調で訴えた。

 「受け身の天才」といわれた三沢さんほどの選手でも、リングに上がれば危険にさらされる。仲田氏は、多くの選手がそれを覚悟で試合に臨んでいると強調する。「奥さんに『おれに万が一のことがあったら』と話している選手もいる。それを分かってみんな試合をしている」。それだけに、心ない一部の人の行動が許せないという。

 三沢さんの死後、斎藤は「どんな重い十字架でも背負う」と話し、リングに立っている。三沢さんが亡くなった広島では、東京から駆け付けた三沢さんの真由美夫人から、気をしっかり持つよう逆に励まされていたという。仲田氏も「たまたま、あの日に斎藤選手が相手になっただけ。我々も責めるつもりはない」と、ファンに理解を呼び掛けた。【森本隆】