魔裟斗、サワーに完勝で引退/Dynamite!!
<Dynamite!!>◇12月31日◇さいたまスーパーアリーナ
今大会を最後に引退を表明していたK-1の魔裟斗(30=シルバーウルフ)が、完勝で有終の美を飾った。過去2戦2敗と相性の悪いアンディ・サワー(27=オランダ)との引退試合は、4回に右ストレートでダウンを奪うなど会心の内容で3-0判定勝ち。2度世界王者に就くなどK-1をけん引してきたカリスマは、予告通り「最強のまま引退」を達成した。
最後の試合も、魔裟斗の頭には敵を倒すことしかなかった。初回から打ち合った。4回に右ストレートでサワーが倒れるのを見ると、鬼気迫る表情で右手を突き上げた。「ダウンが取れたのが大きかった」。予告KOこそ達成できなかったが、文句なしの判定勝ち。サワーに肩車されると両手を掲げた。観客席から「魔裟斗最高」と書かれた横断幕がリング上へ。心夫人の涙をタオルでぬぐって横断幕の前で肩を抱き寄せると、「すげーアットホームな感じでありがとう」と笑った。
「最強の美学」を貫いた格闘技人生だった。4月の引退会見で希望した通り、最後の相手に09年のMAX世界王者ペトロシアン(イタリア)を指名した。だが相手の骨折で不可能に。魔裟斗が次に選んだのは過去2戦2敗でMAX準優勝のサワー。「2敗した相手とやるなんて自己満足ですよ」と笑った。最後まで「強い相手」にこだわった。
人気絶頂期にも引退を決意したことがあった。03年に中量級のMAXで日本人初のK-1世界王者になった。その後、期待と重圧が増して「引退」が頭に何度も浮かんできた。04年に「今年と来年優勝して引退する」と発言。「本気で辞めようと思っていた」。踏みとどまらせたのも「最強の美学」だった。04年は優勝を逃した。「中途半端だったから辞められなかった」。そして08年に2度目の世界王者に上り詰めた。
この日、2戦2敗のサワーを下し、負けたままの相手はいなくなった。「(試合のヤマ場は)4回にパンチをもらって効いた後に自分から勝負に出たところ。4回にもダウンを取れた。だれも文句がつけようがない勝利だった」。まさに「最強の美学」を完成させての引退だった。
この日の朝、15歳でヨネクラジムを訪ねた日を思い出したという。「あっという間の15年。でも、やってよかった。(今は)うれしい。悲しい気持ちはゼロ。また明日から新しい人生の旅立ち。挑戦はまだまだ続きます」。最強を極めた魔裟斗は笑顔でリングを下りた。【浜本卓也】
[2010年1月1日9時42分 紙面から]
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