日本プロレス界の祖・力道山の孫、百田力(ちから)さん(31)が1日、格闘家を目指している昭和の大横綱、大鵬さんの孫の納谷幸男君(18=埼玉栄高)にエールを送った。ともに偉大な祖父を持ち、周囲から大きな期待をかけられている。年内のプロレスラーデビューを目指している力さんは「周囲の期待に押しつぶされないで。祖父の名を汚さないように頑張りましょう」と話した。

 力さんは「自分なんか、まだデビューしてないんだから、他人について話すことなんかできません」と言葉を選びながら話し始めた。土浦日大高2年のときにプロレスラーを目指して、レスリング部に入部。日大法学部時代はジムで鍛えて、04年にノアの入門テストを受けたが不合格。1度はレスラーをあきらめたが、現在は祖父力道山、父百田光雄(64=天龍プロジェクト)を継ぎ、日本初の親子3代のプロレスラーを目指している。

 力さんは「僕も幸男さんも共通しているのは、祖父の現役時代にはじかに接していないことです。幼い頃から、いかに祖父が偉大だったかを周囲の人に聞かされて育ったから、それが自然とプレッシャーになっていたかもしれませんね」と振り返る。

 力さんの場合、本人以上にプレッシャーを受けていたのは、父の光雄だった。「父も2世レスラーとして苦労したから、全て完璧にこなせるようになるまでは、2度とテストを受けるなと言い渡された。幸男さんもお父さんが元関脇の貴闘力関ですから、大変でしょう。でも、偉大な祖父のことを考えれば、どんなつらいことでも乗り越えられる」と思いやる。

 1度は断念したプロレスラーへの夢が再燃したのは、09年4月。桜庭和志が主宰していたジムLaughter7に通い格闘技を学んだ。スポーツジム勤務の合間に週5日のトレーニング。プロレスラー折原昌夫主宰の群馬・館林のメビウス道場にも通っている。「けがをしないように受け身を教えてもらっています。まだ、攻撃の技は、そんなにできません」。力道山没後50年の今年中のデビューが目標だ。【小谷野俊哉】