<プロボクシング:54・7キロ契約体重10回戦>◇9日◇横浜文化体育館

 元WBA世界フライ級王者の亀田大毅(24=亀田)がKO勝ちし、涙を流して熱唱した。54・7キロ契約10回戦で、元北米フライ級王者ファウスティーノ・クプル(28=メキシコ)と対戦し、6回開始で左フック、右ストレートの連打でダウンを奪取。同回43秒、KO勝ちした。WBA世界スーパーフライ級2位だが、4月から日本承認となるWBO、IBF王座も視野に入れて世界挑戦を目指す姿勢を示した。

 尾崎豊の「僕が僕であるために」を歌いながら、大毅は泣いた。「めっちゃ、緊張してな。あの詞が今の自分の気持ちと同じ。大好きやし。歌っていて感謝の気持ちがこみ上げた」。試合後の熱唱は10年9月、坂田健史戦以来、約2年半ぶり。区切りのプロ30戦目、5度目の世界前哨戦をクリアした達成感が胸にあった。

 派手に打ち合った。2回以降はガードを緩め、強気に殴りにいった。左フックを軸に、強烈な右ストレートを繰り出した。3試合ぶりのKO勝利。クプルの右フックなどを何度も浴びる危険なシーンもあったが「ムキになった。パンチを恐れずにいこうと。こいや、という気持ち。内容は上々、歌えて良かった」と満足そうに笑った。

 WBA世界スーパーフライ級2位にランクされる。「日本人対決は盛り上がるしやってみたい」と同級王者の河野公平に挑戦する姿勢を示しつつ「オレは世界王者になりたいだけ」とも。4月から日本で承認されるWBO、IGF王座を合わせ、4団体で2階級制覇をうかがう姿勢を強調した。【藤中栄二】