<プロボクシング:WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦>◇8日◇東京・両国国技館

 WBC世界スーパーフェザー級10位の三浦隆司(28=帝拳)は、同級王者ガマリエル・ディアス(32=メキシコ)に9回1分21秒、TKO勝ちで王座奪取に成功した。

 三浦の左ストレートが伸びると、鼻っ柱に命中した。王者ディアスは青コーナーまで吹っ飛んだ。9回に4度目のダウンで、レフェリーは即座にストップ。左強打を何発も浴びせ、ついにベルトを手にした。

 初回にバッティングで1点減点にもひるまず攻めた。3回に「練習してきた右に合わせる」左ストレートで最初のダウン。6回にも左で2度目。7回には王者が左スイッチも「頭を切り替えてジャブから入った」。冷静に右アッパーで3度目のダウンを奪い、9回に決着をつけた。

 「うれしいだけ。おやじに見せることはできなかったが、後押ししてくれた」。世界戦発表前の1月10日、父政志さんは58歳で急死した。仕事中に交通事故で右足を骨折しての入院。容体が急変して、慌てて秋田に向かったが、最期をみとれなかった。

 昨年10月の世界前哨戦後が最後の対面だった。毎試合応援してくれ、再挑戦を楽しみにしていた。三浦は中3からジム通いも、送り迎えにマスボクシングの相手をしてくれた。父の墓前にいい報告ができる。

 「移籍してよかった」とも話した。実は帝拳ジムに入るつもりだった。金足農卒業間近に体験入門も、同学年で史上初の高校6冠となった粟生の入門が決まっていた。そのうち姿を消し、横浜光ジムを選んだ。

 11年に世界初挑戦へこぎ着けたが、内山にはじき返された。その4カ月後には宮川会長の急死でジム存続危機に。レベルアップとチャンスを求めて移籍し、巡り巡ってジム9人目の世界王者で夢をかなえた。

 ジムでは浜田に次ぐファイター王者誕生。浜田は86年に同じ会場で1回KOで王座を獲得した。「浜田代表は理想。左がいっぱい当たってくれた。(内山にも)今度は勝てる自信ある」。粟生が手放したベルトを奪回し次の目標は雪辱だ。【河合香】

 ◆三浦隆司(みうら・たかし)1984年(昭59)5月14日、秋田県山本郡三種町生まれ。金足農高3年時の02年国体ライト級優勝。アマ戦績34勝(22KO)6敗。03年に横浜光ジムからプロデビュー。09年に日本スーパーフェザー級王者矢代を7回TKOで王座獲得。4度防衛。11年にWBA同級王者内山に世界初挑戦し8回終了後棄権でTKO負け。半年後、帝拳ジムへ移籍。家族は中学の同級生彩美夫人と1男。170センチの左ファイター。

 ◆新王者データ

 三浦は日本のジムからは73人目の世界王者となる。再挑戦したのは64人いるが、王座獲得は16人目。スーパーフェザー級では9人目。帝拳ジムからは20人目の挑戦で、9人目の世界王者となる。これは協栄ジムの12人に次ぐ国内2位。