WBC世界フライ級王者・八重樫東(30=大橋)が、異例の子連れトレで始動した。8月に都内で予定される初防衛戦に備え、2階級制覇王者は5日、横浜市の大橋ジムで長男圭太郎くん(7)と一緒に本格的な練習をスタート。9月に第3子を出産予定の彩夫人と長女を実家に預け、7月下旬まで長男と一緒に毎日、V1戦に向けたジムワークを続ける方針を明かした。現役王者としては異例の調整で、世界戦に臨む。

 夕方、仲良く手をつないだ親子が大橋ジムに姿をみせた。八重樫は、松本好二トレーナーと初防衛戦に備えたジムワークを消化する同じ時間帯、小学2年の圭太郎くんも父親が考えてくれた特別メニューを消化する。ボクシングに興味を持ってくれた長男を眺めながら「子供の前ですから、きちんと仕事しないといけないです。それなりの刺激になります」。照れ笑いを浮かべながら、子連れ調整を前向きにとらえた。

 9月中旬に第3子を出産する彩夫人の負担を考慮し、先月23日に1歳の長女志のぶちゃんと2人を岩手・金ケ崎町にある夫人の実家に送りとどけた。「横浜には夫婦とも親戚がいない。妊娠中は心配なので嫁の実家にお願いしました」と、横浜市内の小学校に通う長男との2人だけの生活を始めた。午前7時に起床し、朝食を食べて学校に送った後、午前は都内に移動してフィジカルトレを消化。昼すぎに帰宅し、洗濯と掃除、夕飯準備を終えた後、下校する長男を迎える。夕方から一緒にジムワークに入る。八重樫は「長男が夏休みに入る7月下旬まで、このペースで世界戦に備えます」と明かした。

 所属ジムの大橋秀行会長は「子連れ狼みたいでしょ。いいじゃないですか」と歓迎ムード。トレーナー陣が長男の練習を見守ってくれており、八重樫は「練習に集中できています。このまま初防衛戦に向けて頑張ります」。8月の初防衛戦まで突っ走るつもりでいる。【藤中栄二】