WBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志(34=ワタナベ)が、7つ星を胸に日本人最強を証明する。今日31日、東京・大田区総合体育館で同級4位・金子大樹(25=横浜光)とのV8戦に臨む。30日の計量はリミットより100グラム軽い58・8キロでクリア。入場用ガウンの右胸裏にV7を示す7つ星を入れ、日本の「パウンド・フォー・パウンド」を証明する。

 日本ボクシング界の大トリを務める男が、その自覚を口にした。今日31日の世界戦3試合の中で、内山のV8戦がゴング時間も、テレビ放送も一番遅い。「日本の皆さんが今年最後に見るボクシングになる。良い試合を見せたいと思う。明日はフルパワーで必ず勝ちます」と右拳を握った。計量はリミット58・9キロでパスした挑戦者の金子を横目に、58・8キロでクリア。昼食はパスタと雑炊を口にし、夕飯は恒例のうな重を食べ、減量した肉体を回復させた。

 日本人の現役世界王者で最多となる8度目の防衛戦を迎える。今年5月、スポンサー契約を結んだナイキ社の特製ガウンの右胸裏に、V7王者を意味する7つの星を刻んだ。同社から「内山選手の栄光をたたえたもの」と提案された。ガウンは、29日にジムに到着。今年5月以来、約7カ月ぶりの防衛戦に「やっとまたリングに立てる。試合する姿を見せられますね」と気持ちを高めた。

 大みそかには、日本人のスーパーフェザー級でトップクラスの内山、三浦、金子がリングに立つ。三浦はWBC王者、挑戦者の金子も返上したばかりの日本同級王座を4度防衛し、6連続KO勝利中と勢い十分。この興行が決定して以降、内山は「日本人で最強でありたい」と発言し続けてきた。現在の日本人王者の中では、同階級が最も重い。全階級を通じ、日本で一番強い最強ボクサーを示す「パウンド・フォー・パウンド」を証明するには十分すぎる舞台が整った。

 内山は「他選手は気にならない。自分の実力を見せたい。自分の強さを見せるだけ」と、自らに言い聞かせるように話した。V8防衛を達成し、日本最強をアピールすることだけに集中していた。【藤中栄二】

 ◆パウンド・フォー・パウンド(PFP)

 全階級を通じた最強王者を示す称号。ボクシングは17階級あり、世界主要の認定王座も4団体に分かれ、王座そのものが増加しているため、最強ボクサーを示す意味で用いられる。世界ミドル級、世界ウエルター級両王座を獲得したシュガー・レイ・ロビンソンが最初にPFPと呼ばれたとされる。過去にはマイク・タイソン、ロイ・ジョーンズもPFPと呼ばれ、最近ではマニー・パッキャオやフロイド・メイウェザーがPFPとの評価を受ける。またキックボクシングや総合格闘技でも、同じく最強王者の称号として使われている。