新怪物が最強横綱を止めた! 新関脇の照ノ富士(23=伊勢ケ浜)が横綱白鵬(30)を寄り切り、13日目での優勝を阻止した。白鵬の父ムンフバト氏の勧めでモンゴルから来日して5年。間垣部屋から移籍し、稽古を積んで成長した「将来の横綱候補」が、途中休場した兄弟子の安美錦の分まで奮起して大一番を沸かせた。1差に迫り、初土俵から24場所目で史上最速タイとなる初優勝の可能性も残した。
度胸満点の照ノ富士が、4度目の挑戦で白鵬を攻略した。格上に対して立ち合いから思い切り右で張り、突き放して左上手をつかむ。白鵬を半身にさせ、頭をつけて上手を与えず、右差し。22秒3の真っ向勝負で、最後に力尽きたのは横綱の方だった。「(こんなうれしいことは)ないな。最高にうれしいです」。興奮で紅潮した表情が、激闘を物語っていた。
10年3月に逸ノ城と同便で来日し、鳥取城北高から間垣部屋に入門。13年3月の閉鎖に伴い伊勢ケ浜部屋へ転籍した。若い衆4人の部屋から、日馬富士ら関取衆だけで4人いる恵まれた環境へ。稽古量も比にならなかった。たった3番で酸欠になり「四股も踏めなかった」。時に泣きながら稽古を積み、才能が開花した。今では100番をこなすほど力をつけ、新三役で11勝目。好調の要因を「稽古じゃないすか?」と答え、直前3場所33勝が目安の大関昇進の足固めに入った。
12日目の午後。部屋の廊下の壁に、自身の愛称を記した張り紙があった。「ガナ頑張れ!! 安美錦」。右膝負傷で途中休場した兄弟子からだった。前日の魁聖戦は腹痛に襲われ、ふがいない敗戦。負けた時はあまり言葉を交わさない。代わりに、張り紙で激励された。「安美関の分まで頑張らないと。それで気合が入った」。取組後にそう明かし、感謝した。
白鵬にも恩返しができた。ムンフバト氏の勧めで相撲と出合い、中学生のころにモンゴルで当時大関の白鵬と初対面。「デカイと思った。でも今は自分の方がデカくなっちゃった」と笑う。一方で「1回は勝ちたい。勝って恩返ししたい」と闘志を燃やしていた。初土俵から24場所目で初優勝となれば、貴花田、朝青龍に並ぶスピード記録。張り紙には「あと2番」と書き足された。残り2日。大逆転に懸ける。【桑原亮】

