WBA、WBC、WBO世界スーパーバンタム級1位中谷潤人(28=M・T)がプロ初黒星を喫し、世界4階級制覇を逃した。4団体統一同級王者井上尚弥(33=大橋)に挑戦し、敗れた。両者ともに国内記録のデビューから32連勝という無敗対決。米老舗専門誌ザ・リング選定のパウンド・フォー・パウンド(PFP=体重差が同じと仮定した最強選手)ランキング(井上2位、中谷6位)入り同士のスーパーファイトで敗れた。「モンスター狩り」を成し遂げられなかった。

昨年12月、サウジアラビアで臨んだセバスチャン・エルナンデス(メキシコ)とのスーパーバンタム級転向初戦で苦闘した。世界ランカー対決で接戦を展開し「反省点がたくさんある。試合を通じ、成長するプレゼントをたくさんもらった。それをどう成長につなげていくか」と血肉とした。海外オッズの戦前予想も劣勢となっていたが、中谷は「5月2日、しっかり見返すだけです」と静かに燃えていた。

中学卒業後の15歳で渡米し出会い、指導を受け続ける米国人トレーナー、ルディ・エルナンデス氏のもと、恒例となる約1カ月間の米ロサンゼルス合宿を実施。中谷が帰国した先月19日には、同日便で同氏も来日し、タッグを継続して最終調整していた。昨年9月のスーパーバンタム級転向から約6カ月。中谷は「練習後の変動の差が落ち着いてきた」と1階級上の肉体とパワーがついてきた手応えもあった。

故郷の三重・東員町で中学1年の時、3度の世界挑戦経験がある元東洋太平洋太平洋同級王者石井広三会長のジムに入門した。同会長の勧めでサウスポーとなった。しかし中学3年時に同会長が交通事故で死去。その時に高校に進まずに家族も説得して渡米し、エルナンデス・トレーナーと出会った。「いろいろな人のサポートがあって僕はここにいられる。そういったみなさん、ファンの方もふくめて感謝をつたえるリングにしたい」と燃えていた。しかし亡くなった石井会長と同じ階級で世界王座を奪うことはできなかった。

「絶対王者」井上とのPFP対決に敗れ、自身の大きな目標として掲げてきた井上に続く日本人2人目のPFP1位からは大きく後退した。「モンスター」井上に黒星をつけることはできなかったものの、世界注目のカードを戦えた意義は大きい。28歳という全盛期。今後も世界に向けて「ビッグバン」をアピールし続けていく。

◆中谷潤人(なかたに・じゅんと)1998年(平10)1月2日、三重・東員町生まれ。幼少時代に空手を学び、中学1年から競技を開始。米国で単身渡米し、ルディ・エルナンデス・トレーナーに指導を受けて修行を積みながらアマ14勝2敗。同年4月にプロデビューし、1回TKO勝ち。16年に全日本フライ級新人王、17年に日本同級ユース王座、19年2月に日本同級王座を獲得。20年11月、WBO世界フライ級王座を奪取。23年5月、WBO世界スーパーフライ級王座を獲得。24年2月にWBC世界バンタム級王座獲得。25年7月にWBC、IBF同級王座を統一し返上。身長173センチの左ボクサーファイター。

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