地元の茨城・牛久市から訪れた応援団の歓声が、悲鳴に変わる。全勝の大関稀勢の里(30=田子ノ浦)が、ここまで2勝と不振にあえいでいた琴奨菊に敗れた。「悪くなかったと思いますよ」と言う立ち合いから得意の左四つに持ち込んだが、攻めきれない。後手に回って寄り切られた。

 土俵際で何とか星を拾った8日目の隠岐の海戦から動きがおかしい。八角理事長(元横綱北勝海)は「内容が悪くなっている。全勝の勢いがない。気合を入れ直さなきゃだめだ」と、終盤戦へ奮起をうながした。

 ただ、まだ運はある。直後に弟弟子の高安が白鵬を破り、最大のライバルとの1差リードは保った。「明日は明日で」と稀勢の里。横綱昇進の可能性がある、ハイレベル優勝実現のためにも、もう負けられない。