◆ビリギャル(日)

 ベストセラー小説「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」の実写化。小4レベルの学力しかない高校生ギャルのさやか(有村架純)が一念発起して名門慶大を目指すという、実話をもとにした笑いあり、涙ありのストーリーだ。

 有村が金髪、超ミニスカートで完全ギャル化。清純派アイドルを演じた「あまちゃん」から2年、その変化に度肝を抜かれる。とはいえ、改心して受験勉強に打ち込み始めると、ギャルの面影はなくなる。やはり汚れなきヒロインが染み付いているということか。

 原作で描かれている受験テクニック解説などを排除し、家族や家庭教師の坪田(伊藤淳史)を中心にした人間ドラマに特化した。同じ家族でありながら、息子をプロ野球選手にすることに執着する父(田中哲司)らの「男軍」と、母(吉田羊)とさやかの「女軍」に二分化される。その攻防が見ものだ。一方で、成績が上がっていくのを感じる場面が、テストの答案だけ。もう少しアイデアと痛快さが欲しかった。

 ホロリとくる場面もある。ゴールデンウイーク映画としては期待を裏切らないだろう。ただ、映画館の大スクリーンで上映する意味は感じなかった。【森本隆】

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