韓国政財界の闇をえぐる、単純明快、勧善懲悪の痛快クライムアクション。韓国では1000万人を動員する大ヒット作になった。

 贈賄や犯罪のもみ消しなど、裏社会で幅を利かせる韓国の大財閥。武闘派の刑事ドチョル(ファン・ジョンミン)は、あるパーティーで起きた男の自殺未遂に、財閥のドラ息子テオ(ユ・アイン)が関わっていることを突き止める。女遊びに暴力、さらには麻薬と、悪行の尽きないテオは、圧力をかけて関係者やマスコミの口を封じようとしていく。そんな中、ドチョルは何度も捜査に行き詰まりながら、真実を追求していく。

 刑事役の俳優陣の軽すぎる乗りから、クライム「コメディー」かと疑うほどだったが、終盤には激しいカーアクションもあり、グイグイと引き込まれていく。ストーリー自体はやや平板で、昔の刑事ドラマを見ているようではあった。それでも、「大企業は聖域」「謝罪すれば済む問題を」という登場人物のせりふ1つ1つに、大組織に対する国民の怒りが乗っているようで、心に突き刺さる。

 ラストシーン、テオを取り囲む人々が取る行動もある意味、現代社会を象徴している。【森本隆】

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