◆ニューヨークの巴里夫(パリジャン)(仏・米・ベルギー合作)

 ここ数年、世界的ヒットとなった仏映画が少なくない。12年「最強のふたり」13年「タイピスト」…。日常描写の中に、出来のいいアクションスリラーのような仕掛けがちりばめられ、当たり前の人間関係も面白いように弾んでいる。

 不器用で流されやすいが、親としての意地はある。今作の中年男の日常もダイナミックだ。

 別れた妻子を追い、作家として地位を固めたパリを離れてニューヨークへ。妻の恋人のセレブ生活に圧倒される一方で、子どもの教育方針は譲らない。移民局ににらまれると、中国系女性と偽装結婚して永住権を獲得する。そのさなかにレズビアンの旧友と再会し、せがまれて精子提供。休暇で訪れた元恋人とよりを戻して…とめまぐるしい。

 はたから見れば何ともだらしないが、身近で触れれば純な心にひきつけられる。ロマン・デュリスがほんわりと醸す「男らしさ」は深い。無精ひげや目尻のシワも有効なツールだ。セドリック・クラピッシュ監督とコンビの01年「スパニッシュ・アパートメント」05年「ロシアン・ドールズ」に続く3部作完結編でもある。01年「アメリ」のオドレイ・トトゥらが出演。【相原斎】

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