宝塚歌劇団月組トップスター、龍真咲(りゅう・まさき)の退団公演「NOBUNAGA〈信長〉-下天の夢-」「Forever LOVE!!」が10日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。

 トップ在位4年に及んだ龍が、最後に臨んだ“男”は織田信長だった。武家社会に異風を吹き込んだ信長を、和物ながらに楽曲はロックでつづった異色ミュージカル。男役16年の龍自身の生きざまを重ねて描いた芝居に仕上がった。

 けいこ中には「男役・龍真咲の人生を(信長に)掛け合わせて演じたい」と話していた通り、信長らしい圧倒的なカリスマ性と、トップならではの孤独感を投影させ、ロック版・信長を作り上げた。

 「さあ、行こう!」。芝居のエンディングでは、退団後、新たな人生を歩む龍自身の思いともとれるセリフで締めた。

 入団前から宝塚ファンだった龍だけに、最後の公演は、タカラヅカを象徴する「夢」と「愛」を詰め込んだ。芝居は、天下取りへの「夢」を追った織田信長を描き、ショーでは支えてくれたファン、仲間との「愛」を歌い上げた。

 「プロローグの後は中詰めの連続。私も出ずっぱりだし、一気にフィナーレへ行きます」。“予告”通り、約1時間のショーも、フルスロットルで駆け抜ける。オリジナル曲の合間には「真咲を愛してくれて、ありがとう」と、メッセージも入れた。

 「龍は…愛を蒔(ま)いた…」などと、男役集大成の“サヨナラ仕様”のナンバーも織り交ぜ、ラストステージの有終を飾る。

 月組一筋で育った龍は、仲間との固い絆にも感謝。トップ娘役の愛希(まなき)れいか、次期トップに内定している珠城(たまき)りょうとのからみも披露した。

 愛希とのデュエットダンスこそないものの、男役スターの凪七瑠海(なぎな・るうみ)、美弥(みや)るりか、さらには専科から出演している同期の沙央(さおう)くらまが女役にふんし、龍とコンビを組み、絆と愛を表現していた。

 また、同新人公演の主演が決まっている5年目の暁千星(あかつき・ちせい)は、信長側近の主要キャストで出演。父の元南海最多勝投手、山内和宏氏譲りの度胸の良さを発揮した。

 故夏目雅子さん、故田中好子さんのめいにあたる風間柚乃(かざま・ゆの)も信長小姓などの役を演じ、若手スターもはつらつとした演技。今春、入団したばかりの君島十和子さんの長女、蘭世恵翔(らんぜ・けいと)も、月組生としてのスタートを切った。

 宝塚大劇場公演は7月18日まで。東京宝塚劇場は8月5日~9月4日。龍は東京公演千秋楽で、劇団を退団する。