7日に亡くなった永六輔さん(享年83)が、親交のあった歌手加藤登紀子(72)に未発表の歌詞を贈っていた。詞は愛用の原稿用紙に直筆で書かれており、タイトルはなく、本文は8行のみ。寂しさや悲しみ、苦しさに耐える心情がつづられ「虚(むな)しさが 耐えられるのは ともだち あなた 戦う心」と結ばれている。
加藤によると、11年冬、加藤のコンサートのゲスト出演を欠席した永さんから「おわびをしたい。1度も一緒に歌を作っていなかったね」と提案され、13年春に永さんからこの詞を受け取ったという。
加藤は「永さんが率直に、ありのままの感情をぶつけた歌だと思う。つらい詞だったので、たじろぎました」。「詞を抱きしめるような」曲を付け、続きの詞を待っていたが、届くことはなかったという。「全部言い切っていたのでしょう。受け止めきれず、そのままにしてしまっていたことが悔しい」。さらに「この歌は、永さんがつらさを感じている人たちに寄り添っていると受け止めることができます。いつか2番を付けて完成させて、大切に歌っていきたい」と続けた。
歌詞の全文は次の通り。
淋しさには耐えられる
悲しみにも耐えてみよう
苦しさにも耐えてみて
耐えて耐えて
耐えられないのは虚しさ
虚しさ 空しさ
虚しさが 耐えられるのは
ともだち あなた 戦う心