前宮崎県知事の東国原英夫氏(54)が元たけし軍団の北海ジャンジャン氏(43)から名誉毀損(きそん)で提訴された裁判が10日、東京地裁で結審した。昨年7月に第1回公判が行われ、今回で9回目。東国原氏は初めて出廷した。

 97年に東国原氏が北海ジャンジャン氏に蹴りを入れたことが発覚した。99年、東国原氏に罰金10万円が課せられ、1度は問題に終止符が打たれたかに思われたが、00年に東国原氏が、この問題も記した著書「どん底」を発売。北海ジャンジャン氏が訴えたのは07年に出版された「どん底」の新装版だった。

 法廷で、東国原氏は同氏を蹴った理由をこう説明した。「(北海ジャンジャン氏が)不当に一部の後輩へ暴力を振るっていたと周りから聞いていた。私は軍団の中でも引き締めなければいけない立場だったので注意、是正をしなければいけないと思った。本人に『そういう事実はあるのか』と聞いたが、人を小ばかにしたような態度が見えた」。

 東国原氏側の証人として元たけし軍団のニセ大周氏が出廷。北海ジャンジャン氏の暴力について「(約2年間で)10回ほど暴力をうけた。テレビ局の資材置き場で顔や胸を殴られた」と証言。しかし、北海ジャンジャン氏は「殴ったのは1回だけ。(ビート)たけしさんの付き人をしていて、7日間連続で(ニセ大周氏が)遅刻した時に、グーで頭のてっぺんを小突きました」と対立した。

 同じく北海ジャンジャン氏から提訴されている「どん底」を出版プロデュースした芸能評論家の肥留間正明氏はこの日、「3年で名誉毀損(きそん)は時効になる」と主張。その上で「新装版を出すのは出版業界の常識。初版と内容は全く変わっていない。北海ジャンジャン氏は、07年に出版した新装版以前から、どん底の内容を知っていたはず」と反論した。その証拠として、新装版の発売の前に、北海ジャンジャン氏が「どん底」についての取材を「週刊現代」から受け、同誌に掲載されたことを挙げた。北海ジャンジャン氏は「(どん底の)原本は見ていない」と否定した。

 判決は来年1月12日に東京地裁で言い渡される。