合成麻薬MDMAを一緒にのんだ女性の救命を怠ったとして、裁判員裁判の1審が保護責任者遺棄と麻薬取締法違反(譲渡、譲り受け、所持)の罪を適用して懲役2年6月を言い渡し、2審も支持した元俳優押尾学被告(33)について、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は15日までに被告の上告を棄却する決定をした。実刑が確定する。

 被告は決定に対する異議申し立てができるが、判断が覆る見通しはほぼなく、正式な確定後に収監される。服役期間は、1審判決が刑への算入を認めた180日間の勾留期間を差し引き、最長で2年程度とみられる。

 女性が死亡したため、押尾被告は保護責任者遺棄致死罪で起訴された。しかし2010年9月の1審東京地裁判決は「直ちに119番したとしても、救命が確実だったとはいえない」と判断し、遺棄の罪だけを認定。

 被告側は2審で遺棄罪も無罪を主張したが退けられ、昨年4月の東京高裁判決は「通報によって自らの麻薬使用が発覚することを恐れ、芸能人としての地位を失いたくないという理由で放置した」と批判した。

 検察側は1審判決に対し控訴せず、2審以降は致死罪の成立は争われなかった。

 1、2審判決によると、押尾被告は09年8月、東京・六本木ヒルズで飲食店員の女性(当時30)の容体が急変したのに救急車を呼ばずに放置するなどした。