米ハリウッドで最も伝統ある映画雑誌の1つ「ハリウッド・リポーター」は、19日発売の最新号で、1940~50年代に同誌の創刊者がコラムで俳優や監督ら特定の映画関係者を共産主義者として実名で取り上げ続けるなど「赤狩り」と呼ばれた迫害に加担したことを認めた上で、謝罪する記事を掲載した。

 記事は創刊者の息子で、現在の発行責任者のウィリー・ウィルカーソン氏が執筆。スタジオ開設を目指して失敗した父親が、計画を妨害したと考えた映画界の有力者らに報復するためコラムを書いたなどと指摘した。

 同誌は30年創刊。コラムは46年に始まり、翌年11月から出回った「ハリウッド・ブラックリスト」と呼ばれる映画関係者の名簿作成につながった。「ローマの休日」(53年)の脚本を書いたダルトン・トランボら、共産主義者などとして掲載された多くの映画関係者が仕事を失った。

 創刊者は62年に死去。同誌はリストが作成されて65年となるのを機に、特集記事を掲載した。

 ウィルカーソン氏は、父親のしたことは第2次大戦中に日系米国人が敵性外国人として強制収容されたのと似た問題だとして「父に代わり、犠牲となった皆さんに心からおわびする」とした。