長年にわたり人形浄瑠璃文楽をけん引してきた浄瑠璃語り(太夫)の人間国宝竹本住大夫さん(89)が28日、大阪市内で会見し、現役を引退すると表明した。5月の東京・国立劇場の公演が最後の舞台となる。

 住大夫さんは「今までやれていたことが、できなくなった。68年間文楽の太夫として務められ、ありがたく思います」と引退理由などを語った。

 1946年に初舞台を踏み、85年、七世住大夫を襲名。滋味あふれる語りで、時代物、世話物いずれも高く評価された。89年に人間国宝に認定、2005年には文化功労者に選ばれた。

 現役では最高齢の演者。文楽が大阪市の補助金見直し問題に揺れた12年7月に脳梗塞で倒れたが、13年1月に舞台復帰した。ことし2月24日まで出演していた東京公演中に引退を決めたといい、「後遺症があるが、最後の公演に向けリハビリと稽古に励みたい」と話した。