緊急入院していた元女優南田洋子(みなみだ・ようこ、本名加藤洋子=かとう・ようこ)さんが21日午前10時56分、くも膜下出血のため、都内の病院で死去した。76歳だった。数年前から認知症を患い、夫で俳優長門裕之(75)が懸命な介護を続け一時は回復の兆しが見えたが、17日に体調が悪化し手術を行った。前日20日に「奇跡を待っている」と語った長門だったが、その思いは届かなかった。
長門はこの日、出演中の東京・明治座公演の夜の部の出番終了後に会見した。南田さんは昼の部が始まる数分前に亡くなったが、関係者が長門を気遣い、昼の公演終了までは知らせないでいたという。長門は南田さんの死を聞いた後も、気丈に夜の部に出演した。
長門は「洋子は生きてます。永遠のものですから」と、涙を流しながら声を絞り出した。しかし、公演中の舞台に穴をあけるわけにはいかないと、通夜、告別式は千秋楽の後に執り行うことにした。
南田さんの遺体は正午ごろ病院を出て都内の自宅マンションに戻り、寝室に安置された。関係者、親族ら4~5人が付き添っている。マンションは長門夫妻の一戸建てが建っていた土地に、数年前に建てられた。一戸建てには夫婦が好きなマージャン部屋があり、多くの芸能人が遊びに来るなど、思い出が詰まっていた。しかし、南田さんの介護をしやすいような適度な広さでバリアフリーのマンションに建て替えた。思いが込められたマンションに、南田さんは無言で帰宅することになってしまった。
南田さんは05年ごろから認知症の症状を見せ始め、06年に女優活動を休止した。今年2月に脳梗塞(こうそく)、4月には意識障害で入院生活を送ったが、最近は肝臓機能の回復とともに、認知症の症状もやわらいでいたという。出掛ける長門に手を振ったり、冗談を言う様子がテレビ番組で放送されたばかりだった。
しかし、17日にくも膜下出血が、南田さんを襲った。緊急入院し、頭の中の水を抜く手術を受けたが、人工呼吸器を使用している状態だった。前日の会見で長門は「奇跡が起こってほしい」と願いつつ、覚悟も決めていたようで「さよならの意味も込めて、一生分のキスをしてあげた」と沈痛な表情で話した。会見を終えた長門は午後8時すぎ、南田さんが眠る自宅に戻った。
南田さんは51年に大映に入社し、「十代の性典」「太陽の季節」などで人気に。「太陽-」で共演した長門と61年に結婚、ボブカットが知的なイメージを醸し活躍を続け、おしどり夫婦として長門とともに数々の番組に出演した。
[2009年10月22日8時15分
紙面から]ソーシャルブックマーク




