<第13回日刊スポーツ・ドラマグランプリ受賞者発表>

 「第13回日刊スポーツ・ドラマグランプリ」の主演男優賞は、TBS系「ヤマトナデシコ七変化」のKAT-TUN亀梨和也(24)が初受賞した。05年(第8回)で助演男優賞を受賞した「ごくせん」の時のように、いかにちゃんと映るかではなく、作品の中の自分を意識。演出家から指名を受けたキャプテンとしての自覚から、スタッフや共演者との大きな輪を作れる主演俳優に成長した。

 自分の撮影が終わっても、いつも以上に楽屋にほとんど帰らなかった。共演者やスタッフと大きな輪を作っては、演技についてはもちろん、くだらないことまでも延々と話した。「常に輪の中にいることが大事」。コミュニケーションを取る。「意識は特にしていない」といいながらも、主演の自覚からの行動だった。

 「演出の石井さんから、『亀梨がキャプテンで、僕が監督』って言われたんです。それはちゃんとしなきゃ、と思いましたね」。

 中でも亀梨を筆頭とするイケメン4人組のきずなは、舞台裏で率先して築いたものだった。常に一緒にいた手越祐也、内博貴、宮尾俊太郎とは食堂へ行く時も一緒。撮影が終わると連れだって食事に行った。今でもお互い連絡を取り合う。

 「最近のドラマは1人で動く役が多かったんですね。これだけ最終回までみんなと話を進めていったのは、あまりないような気がする。今回は最初から4人の仲がいい設定だし、なるべく早く打ち解けたいなと。そういう部分は主演ということ意識しました」。

 周囲からの反応も楽しみの1つだ。

 「(KAT-TUN)中丸は『いやぁキスシーン、恥ずかしいね』って。そこだけ言わなくてもいいじゃん、内容どうだったんだって(笑い)。ドラマはいろんな人が見てくれるから感想を言ってくれたりする。そういうのが作品を作る醍醐味(だいごみ)。何年後に『見てました』という話をされるだろうし、作り上げた作品が残っていくのも楽しいなと思います」。

 視聴率は平均8・2%。数字だけ見るとヒットとは言えないが、全力投球した結果と自信を持てるからこそ冷静に受け止めている。

 「視聴率は気になるというか、話には絶対出るもの。結果、という形で受け止めるようにはしてますね。より一層作品と見つめ合って、もっとこうできるのかな、ということも今回もしてましたし」。

 05年「ごくせん」で演じた生徒役で助演男優賞を受賞した。それから5年。俳優としての成長は自分でも手応えを感じている。

 「あのころは周りのことは特に考えてないというか、いかにちゃんとどう映るかしか考えてなかった気がする。そういう意味では、作品の中にいる自分を昔よりは意識しながら、ドラマというものに取り組んでいるかな」。

 自称テレビっ子。一視聴者としても仕事としても、ドラマを見るのが好きだ。多忙な合間を縫って、性同一性障害などハードな題材を取り上げたフジテレビ系「ラスト・フレンズ」のビデオを取り寄せ、再放送でTBS系「花より男子」を見た。「ドラマや映画を見てると、お芝居したいなってうらやましく思うんですよ」。徹夜もいとわない過密スケジュールの連続ドラマ主演を終えたばかりなのに、だ。

 「撮影が終わった後は、スケジュールがきつかったとかってあまり残らないんですよね。俳優業はコンスタントにもう少しやりたいな、と思っています」。【近藤由美子】

 [2010年4月27日11時33分

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