女優井上真央(23)が、来春から放送されるNHK朝の連続テレビ小説のヒロインに決定した。11日、東京・渋谷区の同局で井上らが会見した。タイトルは「おひさま」に決定し、舞台は長野県の安曇野市と松本市。戦前の1932年(昭7)から戦中、戦後の55年過ぎまでを生きた女性の一代記を描く。今回のヒロイン役はオーディション選考ではなく、“朝ドラの最善策”として、NHKが「まっすぐな笑顔を持ち、実績のある」井上の起用を即決。井上も「成長できるチャンス」と意気込んでいる。

 井上が登壇した瞬間、約50人の取材陣から「まさか」などとどよめきが起きた。朝ドラのヒロイン役は長らく「新人の登竜門」とも言われ、06年まではオーディションで選ばれる傾向にあった。しかし、選ばれたのはTBS系「花より男子」などの主演で知名度抜群の井上だった。新人どころか5歳で子役デビューした芸歴18年の「ベテラン女優」だ。06年に宮崎あおい、藤山直美をヒロインに起用した例もあるが、久々の大物ヒロイン登場だ。

 緊張から口元をギュッと引き締めていた井上だが、マイクを持つと笑顔で意気込みを語り始めた。「(朝ドラのヒロインが)いつかできたらいいなと思いながら、半分はあきらめモードでした。長期にわたるので体力も心力も大変そうですが、成長できるチャンスと思って頑張ります」。

 関係者によると、NHK側から出演のオファーを受けて承諾したのは、約3週間前だが、既に脚本家岡田恵和氏が執筆した台本を読み、役柄に感情移入していた。「1週目からボロボロ泣いてしまいました。早くこの世界観に飛び込みたいなと思いました。手際良く料理をするシーンがあるので、役作りのため料理をしてます。知らない時代を演じますが、同じ世代の方々にメッセージが伝われば」。一方で会見後には「昼ドラや夜ドラ主演は経験したので、後は“朝ドラ”だと思っていたところに話がきたので、すべて制覇できました」とちゃめっ気も見せた。

 会見に同席した小松昌代チーフプロデューサーは、井上の起用理由を淡々と説明した。「温かい気持ちになれる人で、まっすぐな笑顔を持った人が井上さんでした。また、地デジ完全移行の年で最初の朝ドラにもなるので、井上さんの明るい印象から成功の意味も込めてでもあります」。01年前期「ちゅらさん」も担当した岡田氏は「すてきなヒロインを得て充実した気分です」と太鼓判を押した。

 同ドラマはヒロイン陽子が、戦争をはさんで、昭和という激動の時代に明るくたくましく生きる女性の一代記を描く。10月にクランクインを予定し、ヒロインの夫、家族などの主要キャストは後日発表となる。

 [2010年8月12日9時46分

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