俳優市村正親(63)がテレビ東京系スペシャルドラマ「蛇蠍(だかつ)のごとく」(3月中旬放送予定)で、向田邦子作品に初主演する。普段は演じることのないサラリーマン役に挑むのが見どころの1つ。市村がドラマでスーツ姿を見せたのは、過去に1度しかない。

 演じるのは鉄鋼会社の部長。妻役は黒木瞳(51)、娘役は石原さとみ(25)の豪華キャストだ。幸せそうな家庭だが、石原は妻子ある男性と不倫関係にあり、妊娠してしまう。それに気付いた両親は、娘の説得に奔走する。そんな中、市村は若い女性社員に誘惑され、浮気への道を歩み始めるなど泥沼にはまっていく。

 ピュアな女性を演じることが多かった石原は初の汚れ役。市村との共演も初めてで石原は「以前市村さんの舞台を見に行かせていただいて、とても感動しました。共演して近くで演技を見られることが楽しみ。足を引っ張らないように頑張ります」と話している。

 ドロドロの愛憎劇に、ポップさを織り交ぜるのが向田作品だ。市村は「黒木さん、石原さんと作り物ではない生身の人間を感じさせる向田邦子ワールドを作り出せたらと思っています」と気合十分だ。

 15日から撮影開始。3月初めには妻で女優の篠原涼子(38)との間に第2子が誕生予定で、市村も同月1日から数日間“産休”に入る。おなかの子供に届くよう、全力でドラマ撮影に挑む。

 ◆蛇蠍のごとく

 81年1月にNHK土曜ドラマで放送された作品。市村演じる古田修司が、娘塩子の不倫相手と対立しながら娘、妻との関係を見つめ直していく。そんな中、自らも会社の部下であるOLに浮気心を抱く。そのOLと腕を組み街を歩いているところを塩子の不倫相手に見つかり、その晩、修司と不倫相手は酒を酌み交わし、妙な共感を覚えていく。登場人物全員がさまざまな矛盾と葛藤にのみ込まれていく。