野田秀樹(57)が作・演出・出演するNODA・MAP公演「MIWA」(10月4日~11月24日、東京・池袋の東京芸術劇場)で美輪明宏(77)の半生を舞台化することが3日、分かった。野田作品常連の宮沢りえ(39)が主演し、瑛太(30)井上真央(26)小出恵介(29)浦井健治(31)青木さやか(40)が初参加する。舞台化を快諾した美輪への取材を終えた野田は「でたらめの『美輪明宏物語』を書いてみよう」と意気込んでいる。

 野田が、1995年(平7)「キル」のチンギスハン以来、実在の人物を取り上げる。美輪は野田と同じ長崎県出身で、シャンソン歌手、あでやかな魅力を持つ俳優として三島由紀夫、寺山修司ら多くの文化人に愛された。近年は「愛の伝道師」としてカリスマ的人気を博し、昨年大みそかのNHK紅白歌合戦で「ヨイトマケの唄」を歌い反響を呼んだ。半生で多くの苦楽を経験し、ひと言でくくれない「生ける伝説」美輪に野田が迫る。

 「生きている先輩の方から、一生分の話を聞くたびに、いつも1つの芝居が出来上がると思ってきた」と話す野田は昨年、美輪の顔を思い浮かべたという。「だったら、いっそ、今、地球上に生存する人間の中で、私が一番面白いと思う人は誰か?

 考えてみた。その答えがMIWAだった。もちろん美輪さんから話を聞くだけ聞いておいて、まったくもって、でたらめの『美輪明宏物語』を書いてみようと思っています」。美輪自身に舞台化の快諾を得た野田は、美輪の著作や資料を読んだ上で、美輪への2時間を超えるインタビューも終えている。

 現在は脚本を執筆中で、ストーリーの役も未定だが、豪華なキャストは決定している。宮沢、古田新太、池田成志ら野田作品の常連のほか、野田主宰のワークショップ皆勤の瑛太、舞台は11年ぶり2回目の井上真央、蜷川幸雄演出の舞台が続く小出恵介、ミュージカル出演も多い浦井健治、三谷幸喜演出「桜の園」以来2回目舞台の青木さやかが初参加する。

 野田は準備を進める中で、「生きている他人で遊ぶ。不遜(ふそん)である。だが、ぜいたくである。絢爛(けんらん)豪華である。だって、MIWAの生涯なのだから」とコメント。美輪は「野田ゼウス神がまた悪戯(いたずら)をして、私、美輪明宏の人生をもう1個つくるそうな。やれはてどうなりますことやら」と悠然と構えている。

 東京公演後、11月28日から12月1日まで大阪のシアターBRAVA!、12月6日から8日まで北九州芸術劇場でも上演される。