国民的ドラマとなったNHK連続テレビ小説「あまちゃん」でピュアなヒロイン天野アキを演じた女優能年玲奈(20)が、新作主演映画で不良少女を演じることが16日、分かった。人気少女漫画「ホットロード」の実写映画化。悩みや不安を抱えた14歳の少女が、命知らずの不良少年に心ひかれていく姿を描く。アイドルを目指した少女役で全国の視聴者をくぎづけにした能年が、今度は不良少女の設定で新たな一面をスクリーンで表現する。来年夏公開予定。

 能年がイメージを一新させる。9月までの半年間、天野アキとして、男女問わず幅広い年齢層から愛された。明るく朗らか、ピュアで少し天然。魅力的なキャラクターを伸び伸び演じ、一躍注目女優に成長した。次回作が注目される中、異色の設定に挑むことが分かった。80年代に大人気となったコミック「ホットロード」のヒロイン宮市和希を演じる。

 悩みを抱えて生きる14歳の少女。幼い頃に父親を亡くし、母と2人暮らし。その母には反発する。母が別の男を好きだったからだ。母から愛されていない、望まれて生まれてきたわけではないと感じ、誰からも必要とされていないのではと不安を抱える中で、ふとしたことから知り合った暴走族の少年、春山洋志に心ひかれていく。能年は、複雑な思いを抱えながら、不良少女に変化していくという難役に挑む。恋愛や心の成長が描かれるが、天野アキとは全くかけ離れたキャラクターを演じる。能年が新しい魅力を発揮する作品となりそうだ。

 撮影は11月にクランクインする。能年は「皆さんに楽しんでいただける作品になればと毎日願っております」と心の準備に余念がない様子。「あまちゃん」から大きくイメージの変わる作品となるが、「一生懸命に尽くしたいと思います。変わらない私で」と抱負を語っている。

 原作はコミック全4巻で700万部を売り上げたヒット作。原作の紡木たくさんが自ら脚本を監修した。関係者によると、能年の起用は「あまちゃん」放送前に決まっていたという。映画「ソラニン」「僕等がいた」を手掛けた三木孝浩監督がメガホンをとる。原作の持つ普遍的なテーマでもある究極の「純愛」を踏襲し、不朽の青春映画の大作を目指しているという。

 ◆「ホットロード」

 漫画家紡木たくさんが少女コミック誌「別冊マーガレット」(集英社)で86年1月号から87年5月号まで連載。集英社のコミックで史上最速で発行部数100万部を突破し、全4巻で700万部を記録。悩みを抱える14歳の少女、宮市和希(能年玲奈)は学校になじめないでいる転校生、絵里に誘われるまま、夜の湘南で暴走族の少年、春山洋志と出会う。春山が身を置く不良の世界に和希は自分の居場所を求め、次第に春山にひかれていく。