【ロッテルダム22日(日本時間23日)=近藤由美子】関ジャニ∞渋谷すばる(33)が、オランダ・ロッテルダム映画祭に出品された単独初主演作「味園ユニバース」(山下敦弘監督、来月14日公開)の公式上映に出席した。抜群の歌唱力を生かした作品にふさわしく、上映後に異例のソロライブも実施。生歌で欧州映画ファンをくぎ付けにした。

 渋谷のハーモニカと伸びやかな声が会場に響き渡った。特別招待枠の「スペクトラム部門」に出品された主演作の上映後。1曲目はビリー・ジョエルの名曲「ピアノ・マン」。自らのアイデアで、英語詞のサビの部分をアレンジした。「sing

 your

 song

 I’m

 Japanese

 man

 singing

 for

 Rotterdam」。「日本から来たという意味でも、自分らしく歌いたかったからです」。名曲でつかみはOKとばかりに、2つの主題歌「ココロオドレバ」「記憶」を披露。アップテンポな「ココロオドレバ」では映画ファンを総立ちにさせた。

 歌うこと以外、記憶をなくした主人公にマッチした企画は、公式上映を盛り上げる形になった。ロッテルダム映画祭に6回目の出品となる常連、山下監督は「ライブの力はすごいなと。(企画が)成功していると思いました」とうなった。

 反応は上々だった。満員の700人が来場。行列嫌いのオランダ人を含む約50人が列をつくって開場を待ち、主催者を驚かせた。上映中に席を立つ人はほとんどなし。即日、英国から配給の打診があった。渋谷は「意外と温かいリアクションをいただき、ホッとしましたし、うれしかったです。100点だと思います」と笑顔を見せた。

 渋谷にとっては新鮮な経験の連続だった。公式上映前日に、アムステルダム駅でストリートミュージシャン集団に飛び入り参加。ハーモニカと歌で、セッションした。路上ライブデビューに「本当に楽しかったです」と声を弾ませた。

 公式上映では「関ジャニ∞というグループに属しています」などと、必死に覚えた英語で丁寧に自己紹介。「代表として来ているので」と、関ジャニ∞の名前入りの特注Tシャツを勝負服に選んだ。普段は控えめな渋谷がはっきりと言った。「関ジャニ∞としても、海外でいつかやってみたいと思います」。関ジャニ∞の海外進出。1人で臨んだ海外の大舞台から、グループとしての夢が広がった。

 ◆渋谷すばる(しぶたに・すばる)1981年(昭56)9月22日、大阪府生まれ。96年ジャニーズ事務所入り。02年関ジャニ∞結成。04年関ジャニ∞「浪花いろは節」でCDデビュー。「味園ユニバース」の主題歌「記憶/ココロオドレバ」(2月11日発売)でソロデビューし、18日の大阪公演から全国10会場で初ソロツアー開催。