現役高校3年生がクラブ史に名を刻んだ。

清水エスパルスは3-2でベガルタ仙台を撃破。後半途中出場のMF西原源樹(17)が右足でチーム3点目を決め、今季2度目の3連勝をたぐり寄せた。17歳4カ月4日での得点はクラブの公式戦最年少ゴール。12年ナビスコ杯(現ルヴァン杯)札幌戦でMF石毛秀樹(29=G大阪)が挙げた記録を12年ぶりに更新し、チームの首位堅持に貢献した。

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高校生離れした、度肝を抜くメモリアル弾だった。途中出場から14分後の後半38分、西原は左斜め45度の位置でボールを受け、ターンしてエリア内に進入。ボールを奪いにきたDFの股を「感覚」で抜いた。相手3人を一気に置き去りにすると、右足でゴール右上に突き刺した。「体を開きながらファー(サイド)を狙った」。仙台の元日本代表GK林が1歩も動けない、狙い通りの完璧な一撃。クラブ史に名を刻んだヒーローは跳び上がって喜び、先輩たちの手荒い祝福の中で満面の笑みをのぞかせた。

「17歳4カ月4日」はクラブの公式戦最年少弾。ユースの先輩、石毛が持っていた記録を12年ぶりに更新した。ただ、まだ17歳。初のヒーローインタビューでは緊張がピークに達した。質問には「決められて良かったです」と3度、同じ答え。取材は「苦手」で試合後も「いい感じでした」。照れながら歴史的ゴールを振り返る表情にもあどけなさが残るが、並々ならぬ思いでピッチに立っている。

生まれは群馬県。兄の影響でサッカーを始めた。小学校6年時に清水強化部の目に留まり、スカウトされた。まだ12歳だった西原少年は「レベルの高い場所で勝負したい」と覚悟を決めた。中学から清水の下部組織に所属。自身の夢のため家族全員が静岡へ転居し、そのサポートを受けながらメキメキ力をつけてきた。

今年2月に2種登録されて開幕戦にも出場した。期待される重圧をはねのけ、今季9戦目(うち先発1試合)で待望の1発。それでも「もっと結果を出して、試合に出続けたい」と向上心は尽きない。将来の夢は日本代表としてW杯に出ること。清水から世界を目指す超新星が、確かな1歩を踏み出した。【神谷亮磨】

◆西原源樹(にしはら・もとき)2006年(平18)12月16日、群馬県前橋市生まれ。小学1年からファナティコスでサッカーを始め、中学から清水ジュニアユースでプレー。22年ユース昇格。U-16、17日本代表。今年2月25日のJ2開幕熊本戦に17歳2カ月9日で出場し、リーグ戦のクラブ最年少記録も樹立した。家族は両親、兄、姉。180センチ、70キロ。利き足は右。

○…FW北川航也(27)も鮮やかなゴールを決めた。1点リードの後半9分、味方からのスルーパスに抜け出し、ドリブルでエリア内に進入。鋭いキックフェイントでDF2人をかわすと、冷静に左足でゴール左に流し込んだ。今季初の2戦連発で5点目。エースは、ユースの後輩でもある西原のゴールを祝福し「もっと頑張って、これからもゴールに絡むプレーをしてほしい」とエールを送った。