リオデジャネイロ五輪に出場するサッカーU-23(23歳以下)日本代表のオーバーエージ枠(OA=年齢制限外)候補に、川崎FのFW大久保嘉人(33)が入ったことが7日、分かった。既に日本協会からクラブに招集の可能性がある旨の打診が入った。3人が上限のOA枠候補は複数おり、派遣手続き締め切りの6月10日までに決定する。メダル獲得へJリーグ3年連続得点王に白羽の矢が立った。

 国内NO・1の点取り屋が、今夏のリオ五輪に出場する可能性が出てきた。24歳以上のOA枠の候補に、大久保がリストアップされていることが判明した。関係者によれば、既に所属する川崎Fに招集の打診が入っているという。3人が上限のOA枠はまだ複数人いる模様で、今後は日本協会と所属クラブとの間で話し合いが行われる模様だ。正式決定すれば、Jリーグ3年連続得点王が、五輪の舞台に立つことになる。

 大久保は日の丸への思いが誰よりも強い。エースとして臨んだ04年アテネ五輪は3戦2発と結果を出しながら、日本は1次リーグで敗退した。08年北京五輪ではOA候補として正式要請を受けたものの、所属した神戸(当時)が招集を拒否。本人が出場を熱望しながら、最終的に大舞台に立つことはできなかった。その際、傷心の大久保は「アテネでは相当、悔しい思いをした。だから、もう1度五輪に出て日本を勝たせたいという思いがあった。また(五輪出場の)チャンスがあれば、俺は喜んで行きたい」と漏らしていた。

 手倉森ジャパンが本気でメダル獲得に挑む決意の表れでもある。欧州組の招集は困難な状況とはいえ、これまでOA候補にはA代表のDF長友佑都(インテルミラノ)や、一時はFW本田圭佑(ACミラン)らの名前も挙がっていた。そして、ここに来てJ1歴代最多162得点を誇る大久保の名前が、協会サイドで具体的になった。日本は12年ロンドン五輪で4強進出。大久保招集が実現すれば、68年メキシコ五輪以来となる悲願のメダル獲得へ、最強布陣で臨むことになる。

 2年前の14年5月12日に、大久保はW杯ブラジル大会のメンバーにサプライズ選出された。その日は偶然にも、13年に他界した父克博さん(享年61)の命日だった。五輪イヤーの今年もまた、父の命日を間近に控えて、OA候補にリストアップされた。6月で34歳になるベテランにとっては、今回もサプライズだ。OA枠の派遣手続き締め切りは6月10日。それまでに、大久保がリオ五輪に出場するかが正式に決まる。