<サッカー国際親善試合:ウルグアイ3-1日本>◇20日◇札幌ドーム

 日本代表のMF小野伸二(28=ボーフム)が、輝きを取り戻した。親善試合ウルグアイ戦で、06年6月12日のW杯ドイツ大会オーストラリア戦以来、800日ぶりに国際Aマッチに出場。後半3分に先制オウンゴールの起点になり、同7分には相手選手と乱闘寸前になるなど、闘志をむき出しにしてフル出場した。1-3の逆転負けでチーム全体としては大きな課題を残したが、W杯アジア最終予選初戦となるバーレーン戦(9月6日、マナマ)へ、頼もしい男が帰ってきた。

 2年間の思いを込め、代表戦に戻ってきた。後半3分、唯一の得点は小野が起点だった。素早くゴール前の中村憲へ渡し、中村憲のクロスが相手選手に当たりゴールが生まれた。同21分のヘディングシュートがGKの好守に阻まれると頭を抱えて悔しがった。小野はまだ、さび付いていなかった。

 小野

 終盤にバランスが取れなくなったので、そういう場面でリーダーシップを取れるようにならなければと思いました。もっと得点につながるラストパスの精度を上げていかないといけない。代表は誇り高きところ。ここに居続けたい。

 06年6月12日のW杯ドイツ大会オーストラリア戦以来、ちょうど800日ぶりの国際Aマッチ。後半7分にはMFペレスに後ろからタックルを仕掛け乱闘寸前になった。長いブランクがあった分、今まで以上に闘志をむき出しにした。

 慢性的な両足首、左ひざ痛を抱え、常に故障がつきまとってきた。周囲に「ぼろぼろだよ」と漏らしたこともある。それでも心の隅には日の丸があった。今季開幕前、ドイツに渡る直前には日本のエース格に成長したFW大久保と食事に行った。W杯予選の話を聞くと自然と胸が熱くなった。

 後半30分には運営の手違いで電光掲示板に交代と表示され、アナウンスも流れた。集中力が切れかけ「気持ちが終わっちゃいましたね。戻すのが大変でした」と苦笑い。それでも最後まで走り抜き「初めての代表みたいでした」と初代表に選出された18歳の時と同じ、新鮮な気持ちだった。

 9月6日には最終予選初戦バーレーン戦が控える。完敗した一戦で、小野の復調が唯一の光。中盤は、中村俊が股(こ)関節の手術から復帰したばかりで、ウイルス感染症で五輪を辞退した遠藤の体調が上がるのはこれから。来年6月まで続くW杯への道に、小野が加わり、中盤の層が厚くなったのは確かだ。眠りから覚めた男が、南アフリカに向け歩み出した。【益子浩一】