【エンスヘーデ(オランダ)6日】日本代表のホープ・MF本田圭佑(23=VVV)は、信念を曲げない。FKを巡り中村俊と“言い合い”になったオランダ戦から一夜明けた6日、主力組とともに軽めの調整。前夜も中村俊との話し合いは一切なく、本田は「言いたいことがあるなら直接、言ってくれればいい」と主張した。岡田ジャパンは連動性やチームの輪を重要視するが、強烈な個性を曲げずにW杯本大会までにレギュラーを奪い取る覚悟だ。

 軽めの調整を終えた本田は、あえて冷静に語り出した。オランダ戦の後半18分に得たFKで、同じ左利きの中村俊に「オレに蹴らせてください」と懇願。自己主張の強さが、チームの輪を乱すムードを生んでしまった。それでも本田は約15分もかけ、報道陣に淡々と自分の考えを訴えた。

 本田

 単純に自分が蹴りたかった。自信を持って「蹴らせてください」と言いましたよ。オレは(中村)俊さんをリスペクトしている部分もありますけど、VVVでも誰にも譲らない。(仲間を)シカトしてシュートを打つ時もある。もっと海外はえげつなく(自己主張して)やっている。

 「連動性」や「チームワーク」という名の下に、仲良し集団になりつつある日本代表に苦言を呈した。守備に難のある本田は、確かに失点の要因をつくった。それでも爆発的な突破力に魅力があるから、現地の評価は高い。

 本田

 オレの守備のことばかり言うのが日本らしい。それよりオレがオランダ戦でシュートを1本も打っていないことを指摘してほしい。オレは結果を出すポジションなんだから。

 試合後も中村俊と話し合う時間はなかったという。中村俊は報道陣に対し「もっと連動性を持て」と暗に本田を批判するコメントをしており、本田は「言いたいことがあるなら、直接言ってくればいい。その方が代表は強くなる」と主張。しこりは残ったままだ。

 この日の練習後には、中村俊の乗る小型バスには乗らず、本田は1人で歩いて宿舎へ戻った。【益子浩一】