日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督(57)が、G大阪の高校生FW宇佐美貴史(18)を認めた。20日、大阪・万博練習場で行われた12年ロンドン五輪出場を狙うU-21(21歳以下)日本代表-G大阪の練習試合を視察。普段は選手個人の具体的評価をしないイタリア人指揮官が「彼のことは見ている。非常に面白い選手だ」と明言した。飛び級での五輪出場だけでなく、高校生のザックジャパン入りも現実味を帯びてきた。

 ザッケローニ監督の口から飛び出したのは、意外な言葉だった。秋風吹く大阪・万博練習場で、U-21代表とG大阪との練習試合を視察した直後のこと。G大阪の主力組の左サイドで、45分間出場した高校3年生の宇佐美に関する質問が出ると、冗舌に語り出した。

 ザック監督

 今日に関してはあくまで練習試合なので、そこまでの評価はできない。だが(視察で)G大阪の試合を見ている時も、彼のことは見ている。非常に面白い選手だし、まだまだ伸びしろがある。

 選手個人の具体的評価を口にするのは、極めて異例だ。9月の就任後は、日本の選手を把握していないことに加え言葉の問題で誤解を招くことを心配し、個人名を出してのコメントは控えてきた。現にこの日も、U-21代表で印象に残った選手を問われると「私は個人の話はしないようにしている」と口をつぐんだほど。貫いてきたスタンスを崩してまで宇佐美の印象を語ったのは、それだけ強い興味を抱いたからだろう。

 招集されれば日本の新星になる。練習試合は無得点ながら、得意のドリブルで軽く2~3人のDFを抜くなど非凡なプレーを披露。さらに“大物”らしく、五輪代表&A代表のダブル選出の可能性も出てきた宇佐美は、ザック監督の褒め言葉をさらりと受け流した。

 宇佐美

 代表監督にアピールするっていうより、G大阪の試合で使ってもらわないとアカンから、西野監督にアピールすることを考えてます。ザック監督を生で見るのは今日が初めて。テレビで見るより小さい人やけど、格好いいっすね。

 来年1月のアジア杯で代表デビューを果たせば、第1次岡田政権時の98年市川、小野(ともに現清水)に続く年少記録になる。14年W杯ブラジル大会へ-。日本代表に、新たな息吹が加わるかも知れない。【益子浩一】