鹿島がホームでFCソウル(韓国)に逆転負けし、クラブ史上初の1次リーグ敗退が決まった。勝つしか決勝トーナメント進出の可能性がない一戦で、後半ロスタイムに決勝点を許した。史上初の開幕3連敗からの突破を果たすどころかリーグ最下位に転落。08~11年に続く出場5大会連続の決勝トーナメント進出も逃した。

 試合後のバスに大きな拍手が送られた。鹿島に、ではない。勝ったFCソウルに対する、容赦ない皮肉だった。勝てば16強の大一番で逆転負け。ふがいない結末にサポーターの怒りは頂点に達し、2時間近く出入り口で抗議。場内では今季最多1万9233人から猛烈なブーイングを浴びた。

 あと1点。前のめりの展開に水が差されたのは、2-2の後半ロスタイムだった。ゴール前でこぼれた球に回転がかかり、MF小笠原から離れるように相手MFモリーナへ渡る。左足でゴール左隅へ蹴り込まれ、万事休す。球際の分の悪さを象徴する幕切れに、セレーゾ監督は「球際で勝てなければ話にならない。相手は、五分五分の球は命をかけても自分のものにしようとしていた」と敗戦を認めた。今季の15試合はすべて失点。今回も苦手のセットプレーから2点を失った。

 史上初は泡と消えた。開幕3連敗からの1次リーグ突破は例がない。通算24チーム目にして初の逆転劇を狙ったが、歴史は繰り返された。勝ち点0から広州恒大とウェスタンシドニーに勝利。13、14年のアジア王者を連破したが、意味がなくなった。柴崎も昌子も小笠原も、主力のほとんどが何も話さず会場を去った。

 3日前のリーグ甲府戦で主力6人を温存したが、最下位相手に完封負け。「面白くない」と身内でも酷評された試合でリズムが崩れた。その状態で天敵に返り討ち。09、11年と今年3月に続く4戦全敗となった。ACL5戦で2点しか取れていなかった相手に90分間で3点を許し、4季ぶりのアジア舞台は幕を閉じた。

 6度目の挑戦で初の1次リーグ敗退。またもアジアの頂点には届かなかった。2度の後半ロスタイム弾で望みをつないだ最終節。今度は同じ時間帯に失点し、奇跡の突破はついえた。午前0時を回った。ゴール裏にはまだ、100人を超えるサポーターが抗議のため居座っている。【木下淳】