仙台はアウェーで鳥栖と対戦し、1-1で引き分けた。前半38分に先取点を献上。しかし、J1初出場のGK石川慧(23)がビッグセーブを見せるなど最少失点で粘り、後半41分にMFキム・ミンテ(22)が同点弾を決めた。ナビスコ杯3連勝とはいかなかったものの、勝ち点を7に伸ばし、B組首位を守った。

 ほぼベストメンバーの相手に終始ペースを握られる苦しい試合だったが、GK石川慧がビッグプレーを連発し、何とか勝ち点1をゲットした。「これまで支えてくれた人たちに感謝の思いで臨んだ」と最少失点で切り抜け、痛み分けに持ち込むことに貢献した。

 “トヨグバ”を封じた。鳥栖FW豊田の全4本のシュートを阻止して見せた。圧巻は試合終了直前の後半45分のファインセーブ。MF金民友の右クロスに合わせた豊田に、至近距離でヘディングをたたきつけられた。しかし、瞬時に左足1本で止め、勝ち越し点を許さなかった。神懸かった反応の良さでピンチを救い、渡辺監督も「負けるのと勝ち点を持ち帰るのでは大きな差がある。ビッグセーブでした」と目を細めた。

 六反、関の相次ぐ負傷で出場機会が巡ってきた石川慧にとっては初ずくめの1日。初先発初出場のデビュー戦は大雨の中の初ナイターで、試合後には初ドーピング検査までついてきた。だが、ひたむきに練習を積んできた成果を出し、チームを救った。「苦しさや悔しさをひたすら味わいながら今日まで来た」としみじみ。サポーターからも称賛のコールが贈られた。

 だが、好プレー連発については「こういう力は自分にはない。仙台や僕の勝利を願う方々が勝手に体を動かし、足を出させてくれた」と、いつも通りに謙虚に振り返る。次戦は中3日でリーグ戦、G大阪が相手になる。「強い相手ですが、自分が踏ん張って引っ張っていきたい」。1段ずつ階段を上る23歳は「もっと強くなる」と誓っていた。【成田光季】

 ◆石川慧(いしかわ・けい)1992年(平4)9月30日、新潟県出身。新潟明訓から仙台入りし、ソニー仙台、J3秋田で期限付き移籍でプレーした。185センチ、83キロ。血液型はA。