鹿島は2-0でリーグ戦では6年ぶりに浦和を下し、川崎Fとの勝ち点1差をキープした。

 鹿島のFW金崎夢生(27)が、三度目の正直で試合を動かした。前半2度のポスト直撃シュートを放って迎えた後半7分、自陣からのカウンターで中央から左へ約60メートルを激走。右サイドを走るMF柴崎からのグラウンダーのクロスに飛び込み、GKの手前で右足を合わせて押し込んだ。「(柴崎)岳がいいボールをくれたので、練習通り合わせるだけでした」。5万1674人の前で均衡を破り、柴崎に抱きついて右拳を突き上げた。

 出場4戦連発となるチーム最多の今季8点目。試合後、控室で大分時代の先輩だった浦和GK西川に会った。オフサイドぎりぎりのV弾に「ゴールはゴールだよ~」とガッツポーズ。7日までのA代表合宿中、すれ違うたびに「周ちゃん(西川)から決める」と言い続けていた。「本当に悔しがってましたね」と、してやったりの宣言弾だった。

 チームには2289日ぶりの歓喜をもたらした。鹿島が浦和を下すのは、10年3月以来6年3カ月ぶり。それからリーグ11戦勝ちなし(5分け6敗)の天敵相手に、リーグ最少1試合平均0・6失点の守備陣が体を張った。シュート本数は13対16と下回ったが、ゴール前で何度も体を投げ出した。柴崎は「すべての守備が狙い通り、はまったわけじゃない。けれど、気持ちが入った鹿島らしい試合だった」。首位川崎Fとの勝ち点1差を執念で保った。

 埼玉スタジアムでのリーグ戦白星は、最後にリーグ優勝した09年以来だった。その勝利を告げる笛が鳴った瞬間、選手会長のDF西が叫んだ。「次だぞ、次が大事だぞ!」。待望の浦和撃破も、残り2戦を落とせば意味がない。金崎も「2試合とも、勝つ。そうすれば必ず優勝できる」と言った。赤の鬼門を破った勢いで、第1ステージ逆転優勝へ突き進む。【木下淳】