13番が鉄人ストライカーへの1歩を踏み出す。J2札幌FW内村圭宏(31)が24日、札幌・宮の沢での紅白戦で主力組に入りプレーした。明日26日のアウェー群馬戦は7戦連続先発が濃厚。今季ただ1人、全18試合に出場しており、開幕19戦連続出場となれば、09年愛媛時代の開幕18戦連続を抜く自己最長となる。節制とメンタル改造で進化した31歳が、自身の壁をぶち破り、チームを3連勝に導く。

 ベテラン内村が自らの限界突破に挑む。19日の前節北九州戦は前半46分、FW都倉への縦パスで決勝点をお膳立て。チャンスメーカーとして勝利に貢献も「FWとして、シュートゼロはいけない。もっと前で勝負する場面を増やしていきたい」と気を引き締めた。

 指揮官の信頼度は、出場試合数に表れている。昨年10月に痛めた恥骨痛の影響で仕上がりが遅れ、4月9日岡山戦まで開幕8戦はベンチスタートだった。途中出場で初得点した17日山形戦でスイッチを入れ、23日C大阪戦から前節北九州戦まで10戦中9戦で先発。唯一全試合出場に「ここまで出続けているのは、あまりない。でも状態は良いし痛いところもない」と、さらなる連続出場を見据えた。

 31歳にして心身両面の「リフォーム」に成功。開幕4カ月、休まず試合に出続けるのはプロ生活14年目で初となる。これまでは調子が良くても、腰痛や足首など負傷による離脱や、度重なる累積警告で連続出場が途絶えることが多かった。13年が開幕8戦で3枚、昨季は開幕5戦で3枚のイエローカードを受けた。今季は18戦で2枚と超スローペースだ。熱しやすいメンタル面を抑え、フィジカル面は、ベスト体重を2キロ落とし、下半身の負担を抑え開幕後、離脱も出場停止もなく、戦い抜いてきた。

 ピッチ内での気遣いも心憎い。守りを固められた北九州戦は、自身の判断で中盤に下がりボールの引き出し役を務め、よどみかけた攻撃に流れを加え、勝利を呼び込んだ。「チームとしてのやり方をやりながら、その場で考えて必要なら変えていくことも大事」。ベテランになれば流れを読み、コンスタントに力を発揮する安定感が求められる。その点、今季は先発4発、途中出場2発と変幻自在。豊富なアイデアを駆使し、今度は20位群馬を一蹴する。【永野高輔】

 ◆内村の連続出場 開幕からの連続出場は愛媛時代の08、09年にマークした18試合が最長。今季は前節で並び、次節の群馬戦に出場すれば自己最長となる。シーズン通しての連続出場は、15年5月24日の第15節徳島戦から9月27日の第34節群馬戦までの20試合が最長。