最後は俺が締める-。J2札幌FW内村圭宏(32)が18日、昇格がかかる明日20日金沢戦(札幌ドーム)での2戦連続ゴールを誓った。前節千葉戦は後半から出場し、ロスタイムの50分に劇的な決勝ボレーを決め、チームを3位転落の窮地から救った。前回昇格した11年12月3日、最終東京戦で2得点を挙げJ1に導いたエースが、自身の一撃で歓喜の瞬間を再現する。

 「内村劇場」は、まだ終わらない。金沢戦前売りは18日で2万8000枚を超え、5年ぶりの3万人超えは確実だ。大観衆になるほど燃える13番は「どんなやり方であれ、1年間やってきた積み重ねがある。やるべきことを、全力で出しきりたい」と勝利を見据えた。

 前節千葉戦は1-1の後半ロスタイム、DF河合からのロングボールをダイレクトボレーで合わせ決勝点を挙げた。苦しいときに点を取ることがFWの活力だ。この日の紅白戦は主力組に入りプレー。開幕から全42戦連続出場が濃厚で「チャンスがきたら、しっかり結果につなげたい」と、正真正銘“クライマックス弾”に狙いを定めた。

 チームトップ19点の都倉、12点のジュリーニョに次ぐチーム3番目の11得点も、札幌の「エース」は内村だ。前回昇格した11年オフ、J1クラブのオファーを断って札幌に残った。大きな決断をして臨んだ12年は屈辱のJ1最下位。それから4年、前線での守備、中盤での引き出し役から、フィニッシュと毎年、札幌を再びJ1に上げるため、汗を流してきた。積み重ねた思いを一気にぶつける。

 クラブ初となる2度目の昇格弾を狙う。札幌は過去4度昇格し、ホームで決めた3回は、いずれもエースFWが決勝点を挙げている。内村も11年12月3日の最終東京戦で2得点し、昇格に導いた。今度の相手はJ2残留がかかる最下位金沢。「難しい試合になる。だからこそ相手より走ってプレッシャーをかけ、奪ったらすぐにシュートまでもっていく」とイメージした。

 引き分け以上で優勝と昇格が決まる優位な立場も「何があるか分からない。だから頑張るしかない。監督が言ってきたベースの切り替えの部分を、しっかり出していくこと」と油断はない。蓄えた知恵と経験とテクニックで、J1への扉をこじ開ける。【永野高輔】

 ◆札幌の昇格決定弾 ホームで決めた3回はエースFWが決めており、97年10月22日大分戦(札幌厚別)がFWバルデスの2点目、07年12月1日水戸戦(札幌ド)はFWダビの2点目、11年12月3日東京戦(同)はFW内村の2点目が決勝点。いずれもスコアは2-1。唯一アウェー決定だった00年10月21日湘南戦(平塚)のみ、DF名塚主将の先制ヘッドが決勝点となり、3-0で勝利した。