J1開幕を4日後に控え、王座奪回を狙う浦和に衝撃が走った。ザルツブルク(オーストリア1部)から今季復帰したMF三都主アレサンドロ(30)が、左足付け根の腱(けん)を断裂していたことが4日、分かった。昨年11月に負傷した個所を、1日の愛媛との練習試合で再び負傷、全治3カ月の重傷と診断された。またFW高原は下腿(かたい)打撲でこの日の午後練習は別メニュー調整。MF鈴木は体調不良で休養した。8日の開幕横浜戦からのスタートダッシュに暗雲がたちこめた。

 クラブハウスに現れた三都主は、沈痛の面持ちで状況を説明した。「(1日の)愛媛との練習試合でやった。ショートコーナーで蹴ったときにピリッときた」。昨年ザルツブルクで負傷した同じ個所だった。2日にMRI検査を行い、左足付け根の腱(けん)断裂で、全治3カ月と診断された。リーグ前半戦と6月のW杯3次予選出場も絶望となった。

 今季2シーズンぶりに浦和に復帰した。合宿も順調で、左サイドでのレギュラーも確実だった。日本代表復帰にも意欲を見せていた。それだけに開幕目前でのアクシデントに「信じられなかった。開幕に出られないのは初めて。タイミング的にも、精神的にも厳しい」と落ち込んでいた。

 チームにも激震が走った。同じブラジル出身のDF闘莉王は「キックの精度は期待していた。あいつが1番へこんでいるし、僕らにとってもマイナス。せっかくいい感じで来ていたのに…」と悔しがった。クラブ幹部も「痛いですよ。カバーしていくしかない」。午後のミニゲームで三都主のポジションにはMF相馬が入った。

 不安材料は三都主だけではなかった。この日の午後練習ではエースFW高原が、ランニングのみの別メニューで調整した。愛媛戦で受けた下腿打撲の大事をとった。本人は負傷個所などの詳細を明かさず、「大丈夫です。明日はやります」とだけ話し、足早に立ち去った。3日に行われた「感謝の会」を体調不良で欠席した鈴木は、この日も練習を休んだ。

 エンゲルスコーチは「2人は開幕戦は大丈夫だと思う」と話したが、開幕4日前の練習で、チームの核を成す主力3人が外れるのは非常事態。この日、オジェック監督から5季連続となる主将を指名されたMF山田は「フォローできるメンバーがウチにはいる」。チームの危機を一丸となって乗り越える。【栗田成芳】