元日本代表MF中田英寿氏(31)が所属し、大株主でもあるマネジメント会社「サニーサイドアップ」(東京・渋谷区、次原悦子社長)が、来季から東京Vでの経営参画を検討していることが1日、明らかになった。11月中旬に東京Vの親会社の日本テレビ側から持ちかけられ、株式取得を含めて前向きに検討しているもようだ。同社の経営参画が実現した場合、中田氏もアドバイザーなどの立場で経営に携わる可能性が大きい。

 東京Vとサニーサイドアップ社は11月17日、東京・稲城市の東京Vクラブハウスで初めて会談した。この時はクラブの財務状況を説明するなどして交渉の第1歩を踏み出した。その後、サニーサイド側は慎重に協議を重ねているが「クラブの収支で運営できる」ことを前提に経営参画に意欲を見せている。関係者によれば、交渉の展開次第では、東京Vの株式の50%以上をサニーサイドアップ社が保有する可能性もあり、同社も独自でパートナー探しに動いている。

 東京Vの親会社の日本テレビは、9月中間連結決算で37年ぶりに赤字(約12億円)に転落し、単独でクラブを抱える余裕はなくなっている。東京Vでは06、07年の2年間、サイバーエージェント社が48・1%の株式を保有していた。この時のように複数の企業が株を持ち合うクラブ経営を理想としており、今回もサニーサイドアップ社を含めた複数の企業に協力を依頼してきた。だが、ここまでまとまっておらず、同社との経営参画交渉を始めるに至った。

 同社には中田氏のほかに、元日本代表MF前園真聖氏、東京V所属の日本代表MF大黒将志らと契約するなど、10年以上にわたって日本サッカー界とのかかわりがある。9月5日には新興市場の大阪証券取引所ヘラクレスに上場。その際に中田氏は6・91%の株式を保有する大株主として名を連ねた。

 東京Vの萩原敏雄会長はこの日、来季のクラブ経営について「パートナーを探しているのは事実です」と話した。サニーサイドアップ社との交渉については「ノーコメントにしてください」と話し、否定はしなかった。一方、同社の次原悦子社長は「現段階ではコメントできません」と言葉を濁した。

 同社に所属する中田氏は現役引退後、現在も世界旅行を続けているが、Jリーグ、セリエA、プレミアリーグと渡り歩いた経験などから、クラブ経営への知識は豊富だ。同社の経営参画が決まれば、中田氏が「アドバイザー」的な存在でクラブ経営にかかわる可能性は大きい。

 水面下で交渉が進む中、東京Vは6日の最終節川崎F戦にJ1残留をかける。フロントは既に服部、福西ら元日本代表選手を含む10人以上の選手に対し、来季の契約を更新しない方針を示しているが、東京Vとサニーサイドアップ社はあくまで「J1」を前提に交渉しているという。クラブの行く末とともに、中田氏サイドの動向に注目が集まる。