J2東京Vの経営権が、日本テレビから株式会社協同(東京・墨田区、斉藤守弘社長)へ譲渡される可能性が高いことが8日、分かった。複数あった交渉先は事実上で一本化され、大詰めの段階を迎えている。協同がクラブ株式の約80%を取得し、日本テレビは約20%を保持し続ける。早ければ来週にも合意に至り、3月1日から新体制となる見込み。すでに2月から協同の意向を受けた職員がクラブへ派遣されるなど、具体的な準備も進んでいる。

 協同はゴム、プラスチック製品などの製造を手掛け、海外にも関連会社を持つ。斉藤浩史専務は読売クラブ出身で、清水でもプレーした元Jリーガー。OBのつながりから交渉が始まった。当初は協同が株式の約半数を保持し、残りを日本テレビともう1社で持ち合う形を目指したが、折り合いがつかず2社での検討になった。

 日本テレビは、昨年の9月中間連結決算で赤字に転落するなど単独のクラブ経営が困難になり、経営パートナーを探していた。元日本代表MF中田英寿氏が所属し、大株主でもあるサニーサイドアップとも交渉。同社はパチンコ機の開発などを手掛ける企業との協力体制を目指したが、Jリーグの許可が出ないなどの事情もありスムーズに進まなかった。同社は現在もクラブ経営に意欲を持ち、今後も同クラブとの良好な関係を維持していく意向だが、日本テレビ側が早期決着を希望することから、協同との交渉が優先的に進んだようだ。

 株の購入は80%を取得しても約500万円と格安だが、毎年出る赤字は数億円に及ぶ。これまでは日本テレビが業務委託費という形で補てんしてきた。協同は独立採算できるクラブ経営を理想に掲げているというが、赤字が出た場合、いかに埋めていくかは課題として残る。クラブ誕生から40周年の転換期。最終段階を迎えた交渉の行方が注目される。