ネルシーニョ柏が20日、ピリピリムードの中で始動した。4年ぶりにJリーグのピッチに戻る柏のネルシーニョ新監督(58)は、ミーティングで厳しい要求をしていくことを宣言。21日からの練習も、これまでの9時30分から8時30分へと1時間も開始時間を早めた。さらに、FWフランサ(33)にはゴール量産を要求。初日から約2時間のハードな練習で、ネルシーニョ監督がチーム改造をスタートさせた。

 練習前のミーティングから、ネルシーニョ監督の厳しい言葉が並んだ。「レイソルのためにプレーをすること。私は厳しい要求をするが、それに応えられるように」。選手の間に緊張感が走った。休みの予定を返上しての練習も約2時間、前日先発した選手は軽めだったが、残りの選手にとっては厳しい内容だった。

 さらに、いきなり要求したのが練習開始時間変更。「今までと練習のペースを変えたい」と突然の1時間前倒し。「早くリズムに慣れないと」とFW北嶋がいえば、井原コーチも「スタッフも遅れられませんからね」と気を引き締めた。

 ショックなのは大宮から移籍後も埼玉から通うMF小林慶だ。「予想外も予想外。5時半に起きるのはきつい」。休みがあれば1日で引っ越ししたが、それも不可能で「高校以来の寮生活をしようかな」と途方にくれた様子。最後は「じゃあ、12時間後に」と言ってクラブハウスを去った。

 高橋前監督は、チームに家庭的な雰囲気を持ち込んだ。選手とも兄貴分として接した。その前任だった石崎監督(現札幌監督)も、選手との距離は近かった。ネルシーニョ監督は違う。時に選手と衝突しながら、チームに厳しさを持ち込む。初練習を見た小見強化部長も「外国人監督は選手にも刺激になるはず。日本人にない厳しさに期待している」と話した。

 練習後には98、99年にサンパウロで師弟コンビを組んだフランサに、ピッチ上で15分も「説教」した。誰よりも新指揮官を知るからか緊張感も人一倍で、この日は練習からよく走り、珍しいダイビングヘッドまで披露。「早く彼のやり方に適応しないと」と真剣な表情で言った。「試合の中で自信を取り戻すこと。そのためにグラウンド内での姿勢から変える」。チーム改革に意欲を見せるネルシーニョ監督は力強かった。【荻島弘一】