<天皇杯:清水2-0札幌>◇10月31日◇3回戦◇アウスタ

 J1清水は、FW永井雄一郎(30)が2得点の活躍を見せ、2-0でJ2札幌を下し、5年連続の4回戦進出を決めた。前半開始35秒で移籍後初ゴールとなる先制弾を決めると、同20分にも追加点。ここまで不振に苦しんだストライカーが、完全復帰をアピールした。

 「眠れる大砲」永井が、ついに目を覚ました。試合わずか開始35秒。「どこに当たったか?

 ふくらはぎじゃないですか」。ゴール前のこぼれ球を無心で押し込み先制弾を決めた。浦和時代の昨年8月9日、柏戦以来となる448日ぶりとなる公式戦ゴールで勢いづくと、同20分、後方からのロングパスで相手DFラインの背後に飛び出すと、倒れこみながら右足を伸ばし追加点を決めた。

 永井

 とにかく点を取るということが自分にとって必要なことだった。監督から「もっと泥くさく」と、言われていた。どんな形でも点が取れてほっとしています。

 もがき苦しんだ末につかんだ2ゴールだった。移籍後はけがに悩まされ、離脱と復帰を繰り返し、満足にピッチにも立てなかった。ナビスコ杯準決勝第2戦東京戦では公式戦20戦ぶりに先発も精彩を欠き「監督の期待を裏切ってしまった」。屈辱を乗り越え「やっとオレンジのユニホームで結果を出せてうれしかった」と、晴れ晴れした笑顔を見せた。

 08年の「アジアMVPストライカー」の復活に長谷川監督は「これからの試合を考えても、永井が結果を出してくれたのはチームとしても明るい材料」と話した。永井も「これが始まり。点を取った以外はまだまだ。まだリーグも残っているし、もっと高いものを目指していく」。浦和の天才ドリブラーが、ついに頂点を目指す清水の一員となった。【為田聡史】