J2仙台が18日、5日間のオフを終えスイッチを「ON」に入れ直した。29日の天皇杯準決勝(対G大阪、国立)に向けて再始動。積雪で一面銀世界となった泉サッカー場で、フィジカルメニューを消化した。リーグ戦の終わったこの時期、例年ならオフ期間だが、手倉森誠監督(42)やイレブンは「ここまで来たら頂点を目指したい」と意欲を見せる。賞金1億円とACL出場権が得られる優勝を現実の目標として、再出発した。

 ベガルタ戦士が雪をかき分けて走った。オフ明けに約5センチの積雪-。最悪の状況でも1時間半、シーズン中と変わらぬペースで走り込んだ。例年は“終戦”を迎えてクールダウンに充てられる時期。95年のクラブ創設以来、初めてこの時期に、本格的に体を動かした最古参のMF千葉は「年末に本気で練習できるのは日本で4クラブだけ。プロとして幸せ」と喜びをかみしめた。

 13日から5日間のオフ。祝賀会出席など完全にリフレッシュできない休暇ではあったが、それに関係なく選手の気持ちは切れていない。中島は「まだ今季は終わってない。休み中もピリピリしてましたよ」とニヤリ。FW中原も「オフとはいえ走ったし、今日も寒かったんで、いつもの倍、練習前に入浴して温めました」と話した。

 4強入りで、欲も出てきた。MF千葉は「チームで年を越したい。優勝してACLに行きたいよね」と選手の思いを代弁。またこの日の取締役会で、本年度は約9800万円の赤字決算となる見通しが明かされたが、天皇杯の優勝賞金1億円で解消できる。現場が欲しいのは結果だが、結果的に金も追う戦いになる。

 優勝に向けたミニキャンプ案も浮上した。この日、約1時間半かけて雪かきした手倉森監督は「こう積雪が続くようなら、ガンバ戦の3日前に東京入りする。しかも、登録メンバーだけじゃなく全選手で行く」と明かした。都内で普段通りの練習を行い、国立競技場での残り2試合に備える-。仙台が、本気で優勝を狙って再スタートを切った。【木下淳】