2年目のJ1を戦う来季、モンテディオ山形が現場の人件費を大幅アップする。J1山形の海保宣生理事長(68)が25日、今季約5億円だった人件費を、7億円にする考えを口にした。ただし増額が実現しても、経営難に陥っている大分を反面教師とし、戦力もクラブ予算も着実に積み重ねながら、強固なチーム作りにまい進する。

 下部組織を含めた現場の人件費に関し、海保理事長は「2億円アップ」を目標に掲げた。実質的な仕事納めとなったこの日、同理事長は「協賛企業を回ってると、うちがお金がないのを知ってるから『よくJ1に残ったね』と言われる。来季への支援をお願いすると、反応が悪くない」と語った。

 目標達成の見込みは、十分にある。Jリーグの分配金は前年度のカテゴリーで配分が決まるため、来季はJ1の分配金2億円以上が入る(昨季はJ2のため、今季は約1億円)。さらに「市町村応援デー」と銘打ち当該住民が半額で観戦できたサービスを「仙台や新潟、浦和戦には充てない考えもある」(同理事長)という。ドル箱カードで稼いだ分は、選手強化につながることへの理解を求めた。

 飛躍を期待するファンの思いを理解しつつ、同理事長は「身の丈に合わせて少しずつ、お金も増やしていく」と経営難にあえぐ大分を例に挙げながら、慎重さも忘れない。「来年も厳しい戦いになっても、サポーターやマスコミのプレッシャーに、フロントも耐えなきゃいけない」と自らに言い聞かせた。鹿島FW田代、MF増田ら新戦力も見え始めた。増える資金を有効活用すべく、外国人を含めた補強を水面下で続ける。【山崎安昭】