名古屋の日本代表DF田中マルクス闘莉王(29)が、14日の古巣浦和との初対決(豊田ス)を前にほえた。愛知・豊田市内での練習後「オレをクビにしたのは浦和だから」と、敵意をむき出しにした。勝てば首位浮上の可能性もある一戦。2連敗中で10位と苦しむ古巣に、闘将が強烈な「恩返し」を狙っている。

 名古屋の闘莉王が、ホーム豊田スタジアムに浦和を迎える。6年間在籍した古巣では何度もピンチを救い、ゴールも決めた。リーグ、ACLと勝利の美酒にも酔いしれた。その思い出のユニホームと、よく知る顔を初めて敵に回す。5月の埼玉での対戦は累積警告により出場停止だった。ようやく実現する初対決について、神妙な表情で切り出した。「避けたかった。ちょっとやりづらい。みんな仲間なので。長い間、いっしょにプレーさせてもらったし…」。

 ただ、ここから闘将のハートに火が付いた。「でも、オレをクビにしたのは浦和だから」。頭の中には、自身を評価せず、戦力外同然で去るに至った軋轢(あつれき)のあった、フィンケ監督の顔が浮かんでいたのだろうか。絶対に負けないというプライドが、にじみ出た。

 名古屋移籍後も、浦和への感謝を、ことあるごとに口にしてきた。浦和サポーターに対しても「オレを育ててくれた」と強調する。一方で、フィンケ監督が冷遇し、韓国Kリーグへ移籍した元日本代表FW高原が控えに甘んじていることに疑問を呈したことがある。名指しはしないが、成績不振で指導力が問われているかつての指揮官を「見返したい」という思いは強いはず。それが物騒な「クビ」発言につながったと思われる。

 だまって引き下がる男ではない。前節は「集まれ~」とものまねされた、日本代表の東京DF今野と競り合いロスタイムに決勝弾を決めた。ゴール裏で仲間を呼ぶ歓喜の「集まれ~」で、本家の貫禄(かんろく)を示した。同じように浦和を去ったMF三都主も途中出場が濃厚。東京戦で開通した三都主-闘莉王の「元浦和ホットライン」も、終盤の得点パターンとして相手にプレッシャーをかける。「名古屋で結果を出さなければいけない立場」と意気込む闘莉王が、強烈なリーダーシップで古巣に立ち向かう。